［2］だから俺はやめとけって【岩泉一】

やめない51(岩泉side) ページ22

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「ねえ、もうそれ好きってことじゃん」





周りにいた女子達をすごい剣幕で追い払って、及川を屋上へと連れて、話した。

及川も少なからずそういう展開を予想していたようで、いつもなら唐突にこんなふうに来たら、ぶーぶーとすげえ文句ばっかり言うくせに、

今回は何も言わなかったのだ。





「そんなことは、知ってる」





はっきりと言葉にされてしまうと、

自分が気付くのが遅かったことを、後悔せずにはいられない。


自分にあれだけの好意を示していた人が、自分に向けなくなった途端好きだと気付いたんだ。

大切なものは失ってからではないと気付かない。

ないものねだりをしているのと同じだ。





「じゃあ、どーすんの」

「どうすればいいと思う」

「そんなの、自分で」

「俺は、こういうこと慣れてないし、こんなの、初めてだから、どうすればいいかわかんねえんだよ！」




そう言われれば及川も、お手上げ状態で、はあ、とため息をつく。


俺だって、こんなことで及川を頼るつもりなんてなかった。

だけど、身近にいて、色恋沙汰で、頼れるのはやっぱり及川しかいなかったから。





「じゃあもう、好きって伝えてきなよ」

「……俺が？」

「岩ちゃん以外に誰がいんの」




棒読みでそう言われて、確かにと遅く納得をする。






「今度は、岩ちゃんがAちゃんの立場になる番だ」






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