溺愛男子【岩橋玄樹】 (ページ10)

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戸惑う猫 1 ページ10

-Aside-

呼吸がしやすくなった。

倦怠感も疲労感もない。

身体のだるさと頭痛がなくったのを感じ、おそらく熱も引いたのだろう。

だけど、さっきから妙に重い。

腰や背中のあたりが締め付けられているみたいな圧迫感がある。

まだ眠っていたかったけど、どうしてもこの重さが気になって瞼をなんとか持ち上げる。

……なんか、人の肌みたいなのが見える。目に映るのはゆっくり上下する、綺麗なラインの…

鎖骨…？

動きにくいけど、なんとか腕を上へと持ち上げてスッとその形をなぞってみた。

…うん、間違いなく寝ぼけてたんだと思う。

普通ならあり得ない。絶対しないよ、そんな行動。

ピクッ反応した目の前の身体が急に動き、そして私を拘束する力が弱まった。

と思ったら……

玄「ん……勘弁してよ、朝っぱらから…。…って、う、うわぁぁぁ///。」

と、男の子が叫んだ。

………へ。

徐々に覚醒してくる頭でこの状況が掴めてきて、

私の顔から血の気が一気に引いていった。

貴「な、なっ…、」

玄「お、おはよ//。具合は？気分悪くない？」

驚きすぎてプルプル震えながら声にならない声を出そうとする私に

目の前の男の子は恥ずかしそうに目を背けながら言葉を出してくる。

そう、男の子。

目に映るのは名前も知らない男の子がいるだけ。

しかも同じ布団に入って、何故か抱き締められて…

ん？だきしめられて？

だから腰のあたりとか重かったんだ。

…じゃなくて！

貴「なんで一緒に寝てんの！？しかも抱き締められてるしっ！！」

玄「そ、それは、不可抗力で……。←」

なんなんでしょう、この男の子は。

そう思っていたら……

ギュッ

男の子は私を後ろから抱き締める格好になり

頬を私の頭に寄せてきて密着してきた。

玄「でも、抱きごこち良かった。けど…、起き抜けに鎖骨なでるのはやめて。ぞくってくるから。」

貴「あ、ごめん。」

つい素直に謝ってしまった。

あれ、私が悪いの？

どっちかっていうとこの人の方がおかしくない？

一緒に寝てなきゃ目の前に鎖骨があることもないんだしー…。

どうも腑に落ちないから頭の中で文句を考えていると抱きしめてきた腕の力が弱まった。