溺愛男子【岩橋玄樹】 (ページ7)

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狼の腕の中 1 ページ7

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-玄樹side-

はぁ、この子は…どうしてくれようか。

何なんだ、何で床で寝てるんだ。

風呂からあがってリビングへ行き、まず目に入ってきたのは…、

ソファーの足元のフローリングで身体を丸めて寝ている女の子の姿。

俺、ベッド使ってって言ったよな？

何、床なんかで寝てるんだよ。

これ以上、体調悪くなったらどうするんだろう。

ったく。

ありえない

まさか芸能活動しつつ、高校通ってても女の子苦手だったこの俺が

今日会ったばかりの、名前も知らない女の子の世話を焼くなんてね。

…そもそも、赤の他人を家に入れた時点であり得ないんだけど。

まだ水滴の残る髪をタオルで拭きながら、床で丸まる女の子に近づく。

透き通るような白い肌が、うっすらと赤く染まっていて

長い睫毛が頬に影を落としている。

まだ幼さを残してはいるが、驚くほど美しい顔をしていた。

心臓がうるさい。

やばいな…、相手はたぶん同じ高校生だ。

同い年かもしれないじゃないか、と必死に自分に言い聞かす。

が、どんなに否定しても結果は同じ。

さっき初めて見たあの時からきっと既に決まっていたんだ。

俺はこの子が欲しい。

寝ている女の子を抱き上げて、ベッドに連れていく。

熟睡しているのか起きる様子はない。

熱いな…。

また、熱が上がったか？

ベッドの上にそっと降ろし、額に手をあてて体温を確かめる。

バカだな、こんなになるまで何してたんだよ。

事務所から出て、勇太と別れたついでに、事務所の近くの自販機で飲み物を買おうとしてこの子を見つけた。

雨の降る中、自販機に寄り添うようにしてうずくまっている女の子。

顔は見えないけど、若いだろうと想像はつく。

何故か無性に気になって、気づいたら傘を差し掛けていた。

顔が見たかった。

声が聞きたかった。

そう思った時にはもう、声をかけていたんだ。

玄「何やってるんですか？こんなとこで。」

あり得ないだろ

ジャニーズに入ってレッスンとかあったし、しかも元々女の子が苦手だったのに

自分から声をかけて、この女の子と関わりたいと思うなんて。

貴「温もりを少々。」

ポツリと落とされたその声に

胸が締め付けられるほど愛しさを感じてしまった。