溺愛男子【岩橋玄樹】 (ページ4)

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貴「ちょっ…、濡れるよ？」

玄「関係ないよ。とっくに濡れてるから。」

言葉遣いは良いからかなんだか優しいその声に、安心してしまったのは、気のせいなのかな。

玄「それより…、…熱い。熱あるよ。」

途端に硬い声を出して眉をしかめる。

そっか、熱があったのか。

だからこんなに身体がだるいんだ…。

あー、この人はあったかいな～。

熱で浮かされた頭ではまともに考えるなんて出来なくて

大胆にも目の前の男の子の胸に温もりを求めて擦り寄っていた。

玄「なっ…、え…ちょっ!。」

急に焦ったような声をだした男の子は、はぁ、と大きくため息をついた。

そして、私の身体から腕を離して携帯電話を取り出し、電話をかけ始めた。

玄「神宮寺？俺。…ああ、うん……悪いけど、今日帰るわ。…え？ああ、分かってるけど……先輩には上手く言っといて。お願い。……じゃあ。」

会話を終えた男の子は、再び私に腕を伸ばす。

今度は、腕を掴んで私を立ち上がらせる。

あ、ヤバイ…。

身体がふらつき倒れそうになったけど、男の子が私の腰に手を添えて支えてくれた。

玄「うちに行こう。」

貴「うち…？」

玄「そ、俺んち。」

貴「や、それはー…。」

さすがの私もこれはまずいと分かる。

拒否しようと声をだすと、

玄「拒否権はないよ。」

と一喝された。

その後すぐに、無理矢理タクシーに乗せられ、強制的に連れて行かれた。

隣に座る男の子の体温を直に感じる。

こ、この体勢は…っ。

タクシーに乗り込んで早々に男の子の膝に頭を乗せている。

いや、乗せられている。

うん。だって頭を男の子の手で押さえられてるもん。

私、全身ずぶ濡れなんだけど…いいのか？

ま、いいか。

男の子の手がだんだんと私の頭を撫でだした。

なんか…、落ち着く。

気持ち良くなってきた私はいつの間にか瞼を閉じていた。

気付くと身体が揺れている。

足元がおぼつかなくて不安になって、重たい瞼を上げて様子を伺う。

…………………。

貴「なに、してんの？」

玄「見ればわかるでしょ。部屋まで運んでるの。」

だろうね。そう思うよ。

だって、横抱きにされてるんだもん。