溺愛男子【岩橋玄樹】 (ページ15)

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玄「A、手。」

俺はそれだけ言って、掌を上に向けAの方へと差し出す。

貴「ん？」

玄「繋ご？」

貴「えー、ヤダよ。暑いもん。」

玄「いいから。」

貴「何がいいのよ～。」

と文句を言ってるを無視して、Aの手をとる。

初めて繋いだAの手は小さくて細く、自分のものより少し温かかった。

滑らかなその肌を確かめるように親指だけで軽く撫でる。

あ、ヤバイ…。

ハマりそう……。

たったこれだけの事なのに、ゾクッと快感が襲ってくる。

隣のAの反応が気になって、視線を斜め下に向けるとAとバッチリ目が合った。

うわっ、…怒るか？

普通好きでもない男にこんな事されたら嫌がるだろう。

しかも、昨日会ったばかりの男に。

昨日は躊躇したけど触れた、それはAの意識が朦朧としてたからだ。

さすがに今日は拒否られるかもと、不安な目でAを見る。

しかし予想に反し、Aの口から出たのは…、

貴「なんか意外だね。」

玄「…え？」

訳が分からず間抜けな声で聞き返してしまった。

貴「玄樹ってこういうの苦手そうなのに。」

玄「こういうの？」

貴「そ。手繋ぐのとか、並んで一緒に歩いたりとか。」

当たってる。

確かに俺は苦手だ。

なんで一緒に歩かなきゃいけないんだろう？

なんで手を繋ぎたがる？

ずっと、女の子が苦手だったからか

そんな考えだった。

君以外には。

自分でも驚くほど今の俺は、考え方も気持ちの在り方も全然違う。

玄「Aにだけだよ。」

そう言って、繋いだ手に少し力を込める。

玄「嫌？俺と繋ぐの。」

貴「ん、暑い時はね。」

「えー…、でも拒否は許さないよ。」

Aにしたら深い意味なんてないのかもしれない。

ただなんとなく、今の気持ちを言っただけかも。

でも、そんな言葉でも今の俺にはAの言動全てが気になってしまう。

少しのことで簡単に喜びにかわる。

貴「玄樹、この道はどっち？」

離されることのない手に嬉しさを感じる

しっかりと握った手を離さないように。

愛しさが込み上げてくる。

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