壁越しの恋人 【kzh】

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……着いた。…おっきい。





ずっと憧れだったにじ高に通い始めて2年目。




高校2年生になった私は、クラスメイトの家に来ている。









そう、隣の席の葛葉くんの家だ。





隣の席といっても、クラス替えをしてからまだ1度も姿を見たことがない。もちろん、話したことも。

なぜなら、彼は学校に来ていないのだ。




いわゆる不登校ってやつ。







そんな彼の家になぜ来ているかというと、プリントやら課題やらお便りやらを彼に渡すため。





彼の住所を先生に聞いた時、先生は




「どうせ渡しても来ないんだから。」




と言っていた。






別に、学校に来いと催促しに来た訳ではない。





もし学校に行きたいと思った時に、なるべく行きやすい環境にしたいだけ。






つまり、先生や友達に行ってこいと言われた訳ではなくわたしの意思でここへ来ているということだ。







よし。

心の準備をして、チャイムへと手を伸ばす。




少しだけ緊張している。少しだけだけど。



ほんのちょっとだけ手が震えるが、気にすることなくチャイムを押した。




ピンポーン。






数十秒待ってみたが、辺りに鳴り響いたのはチャイムの音だけ。



返答はないようだ。





無理だったか。



また明日にでも来ることにしよう。


そう思い、体を後ろへ向けた時だった。







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「＿＿＿＿＿なんすか」

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