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好きだ14 ページ15

あれから1時間ほど自主練をしたところで及川が


及「そろそろ唄サン送ってあげたら?」


と言うので、俺は一旦自主練を中断し駅まで送ってくることにした。

外は結構暗くなっていて人通りもまばらになっている。

俺は携帯を取り出しメモ機能に


"遅くなっちまって悪かった。"


と打ち込み唄サンに見せた。

すると唄サンも携帯に


"今日楽しかったよ。ありがとう。"


と打ち込み笑顔を見せた。

暗い道に携帯の灯りだけが浮かび音は2人の歩く音だけ。

いつもは静寂とは無縁な生活を送る俺だけど、こんな時間もいいな。と思った。

俺は先程の唄サンのように手を握る。

唄サンは不思議そうに俺を見上げるので


"暗くて危ないから。"


と打ち込み見せると納得したように頷き再び歩き始めた。

暗くて危ないからなんてただの口実だ。
ただ手を繋ぎたかっただけ。

内心、心臓ばくばくで痛いくらい。
手が繋げて嬉しい反面少し後悔する程。

辺りが暗くなければ俺の顔が真っ赤になっていることがバレてしまうだろう。

俺は緊張を紛らわせるように


"今日描いた絵、見せてくれよ。"


と言った。

画面を見た唄サンはカバンからノートを取りだし、少し恥ずかしそうに渡してきた。

手は繋いだまま、どうにかページをめくる。

あの短時間に結構な量を描いたようで、
サーブを打つ及川やレシーブをあげる俺。
ブロックを飛ぶ松川や花巻もいた。

そして最後のページ。


そこにはボールに向かい羽根を広げ飛び立つ俺がいた。


あまりに美しい絵に俺がモデルだとは思えない。


"それね、自主練のときに描いたの。近くで一君が打ってるの見たら羽根がぶわぁって広がったみたいに綺麗で目は獲物を狙うみたいにボール一直線で本当に感動した!"


彼女の素直な感想に恥ずかしさが隠せない。


"俺、こんなに綺麗じゃねぇべ。"


半分本気、半分照れ隠しで打ち込んだ文を見せる。
すると唄サンは大きく首を左右に振り、


"ううん!むしろもっと綺麗で迫力があった。私の画力じゃ描ききれないのが悔しい。バレーを知らない私でも上手いんだなって分かるよ!"

"ほんとに感動したんだから!私にバレーを見せてくれてありがとう。"


彼女のそれこそ羽根の生えた天使のような笑顔に俺の中の好きが溢れて零れ落ちていくのを実感した。

唄サンを送り、高まり続ける気持ちを抑えるように全力疾走で学校に戻った俺だった。

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設定タグ:HQ , 岩泉一 , ハイキュー   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:晴雛 | 作成日時:2017年12月3日 4時

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