#113 ページ13
私たちが移動してきたイルカショーが行われるエリアには、人が波のように押し寄せていた。
何とか一番前の席の端が空いていた為、八山さんと共に座る。
｢わぁ、人が沢山いますね｣
先程の気まずい空気を消し払う様に、二人で笑い合う。
只、消し払おうとはするのだが…先程のキスの感触等が不意に思い出されて…やはり混乱してしまう。
気付けば、私は上ずった感覚で彼に呼びかけていた。
｢…八山さん｣
｢ん？｣
｢……手、繋ぎませんか｣
その言葉は、無意識に口から零れた言葉だった。
｢…えっ！？｣
八山さんの驚いた声で我に返る。
何を言っているんだろう、私。
勿論、頭でそんな事を考えていたわけでは無い。
自分自身もパニックになり、先程の件も含めて頭がもうキャパオーバーしそうだ。
｢！ えっと、いや、今のは違います！…その、聞き流して貰えたら…｣
今の発言を取り消そうと、顔面を真っ赤にして喚く私に、八山さんは少し頬を赤らめたのちぼそっと呟いた。
｢…高宮さんが繋ぎたいなら……、繋ぐ？｣
｢…へ？｣
＿八山さんって、こんな人だっけ。
私の中でのイメージの八山さんは、こういう公の場でのスキンシップは嫌がりそうなのだが。
言い淀んでいる私を見て、八山さんは首を傾げた。
｢？ 寒いんじゃないの？｣
そう言い、彼は私に手を差し出した。
＿何だ。
どうやら八山さんは良い方に勘違いしてくれた様だ。
こちらからしてもそっちの方が都合が良い為、そういう事にしておこう。
｢指先冷えちゃうよ。ほら、俺の手でよかったら温めるのにでも使って｣
そう言い、八山さんは空中で変に固まっている私の指を掴もうとして＿
ばっしゃん、と盛大に水を被った。
何も水を被ったのは彼だけでなく、私もだった。
思わず水がかかった方面＿前方にある水槽の方を見ると、イルカが思いっきりジャンプして水面に着地したところだった。
そんな事を察している間にも髪からぽたぽたと雫が垂れ落ち、体がひんやりと寒い。
｢…うわっ！…って高宮さんも水被ったの！？大丈夫？｣
｢だ、大丈夫で…ひっくしゅん！…っくしゅ！｣
心配をかけまいと首をふろうとするも、自重という言葉を知らないくしゃみが連続的に私を襲う。
何とかくしゃみが止んだ頃には、私はもうこのくしゃみの原因が何なのかを確信していた。
八山さんの苦笑いしている口から呟かれた言葉から、現実が呟かれる。
｢…まさか高宮さん、今ので風邪ひいたの？｣
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iv(はすぱな)(プロフ) - 雪女(ゆきめ)さん» 雪女さん、久方ぶりです…！こんな駄作におめでとうの言葉、本当に嬉しいです…！雪女さんは色んなタイミングでコメントして頂き、毎回励みになっていました。こちらこそお礼を言わせて下さい、有難う御座いました！良ければ新作の方でも応援宜しくお願い致します！ (2018年5月30日 20時) (
レス) id: c5705b5379 (このIDを非表示/違反報告)
雪女(ゆきめ) - 完結おめでとうございます！新作も頑張ってください!約六ヶ月間、こんなにも面白いものを見させてもらってありがとうございました! (2018年5月30日 18時) (レス) id: 6e838903c6 (このIDを非表示/違反報告)
iv(はすぱな)(プロフ) - カビユーザーさん» カビーユーザー様、初めまして。コメント有難う御座います。この駄作を介護疲れに効くだなんてお褒め頂き、勿体ない位のお言葉です…！仕事終わりの少しの時間に、この小説を読んで頂けた事も、とっても嬉しいです！こちらこそこれからも何卒応援宜しくお願い致します。 (2018年5月30日 12時) (レス) id: c5705b5379 (このIDを非表示/違反報告)
iv(はすぱな)(プロフ) - もちこさん» もちこさん、コメント有難う御座います！返信が遅れてしまい、誠に申し訳ございません…。小説の感想や更新の応援、いつもとっても励みになっています。これからも、もっと貴方様に楽しんで頂ける様な小説が作れる様精進致しますので、何卒応援宜しくお願い致します！ (2018年5月30日 12時) (レス) id: c5705b5379 (このIDを非表示/違反報告)
カビユーザー - はじめまして。介護疲れに効く作品ありがとうございます。毎日仕事終わりに少しづつ読ませて頂きました。やっと追いついたのですが、続きが気になって気になって、コメントさせて頂きました。更新楽しみにしております！いつも素敵な作品ありがとうございます！ (2018年5月8日 0時) (レス) id: 590a937085 (このIDを非表示/違反報告)
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