勉強会/柳 ページ3
＿勉強会を開こう。
赤点ギリギリの点数が書かれた再生紙を見て落ち込む私に、彼氏の蓮二がそう誘いを持ちかけてきてくれたのは、三日前程度の事だっただろうか。
「…だから、ここがこうなって……」
着々と目の前で進められていく蓮二直々の勉強講座。自分では聞いてるつもりだが、集中力が切れてどうしても聞き流す形になってしまう。
「…おい、さっきから上の空だが…聞いているのか？」
気付けば、蓮二が呆れた様に手を止めている。
私は姿勢を正し、「ご、ごめん続けて」と催促するが、蓮二は手を止めたままだ。
「…お前の集中力が切れている確率、94%だ。よし、少し休憩にするか」
そう言うと、蓮二は本を閉じた。
蓮二がそう言うならと、私も正座を少し崩して座る。
「…蓮二の部屋って本当に綺麗だよね」
私は、休憩も兼ねて蓮二の許可を取りつつ本棚や勉強机の引き出しなど、気になるものを物色し始めた。
「…俺達は、いつまでこうして一緒に居られるのだろうか」
突然、蓮二がそんな事を呟いた。
「え？」
「…いや、すまない。お前が俺の部屋に居ることの違和感が、段々薄れてきていてな。お前と元からこの家で一緒に暮らしているみたいだと思い始めていたんだ」
さらっとそういう事を言う蓮二に、自分の顔が赤く染まるのが分かる。
そして、蓮二が言ってくれた言葉を噛み締める様に、私は笑った。
「…いつか、来るといいね。同じ家で一緒に過ごせる日が」
「そうだな。」
そう笑い合う中、私は勉強机の二段目の引き出しのに手を掛けようとしていた。
すると、突然蓮二が立ち上がる。
「お、おい。そこの引き出しは開けるな」
「えぇ、他の所は良いのにここは開けちゃ駄目なの？」
「あぁ、駄目だ」
あまりにもぴしゃり、とそう言い切られるものだから、私も開けたいという好奇心が薄れる。
「…そっか」
見られたくないものでも入っているのだろうか。
…まさか、ああいう系の類の本だったりして。
そんな事が一瞬頭に過ぎったが、私は頭を横に振った。
…蓮二はそんな事する人じゃないよね。それか、万が一仮に持っていたとしても、もっと巧妙に隠すよね…
私の中で彼氏の疑いが段々と深くなっていく中、その様子を見ていた蓮二はくすくすと笑いながら考え事をしていた。
(いつか、二段目の引き出しの中身を、お前に渡す日が来るといいな…)
結局、彼女の手で開けられる事は無かった2段目の引き出しでは、今も二つの指輪が息を潜めて眠っている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 85人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「テニスの王子様」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はすぱな(プロフ) - いずもさん» いずもさん初めまして！作者のいぶです…この度はコメント有難う御座います！立海お好きなんですか！？同志さん発見出来てめちゃめちゃ嬉しいです…！リクエストも有難う御座います！勉強会ですね…設定やシチュ等はどう致しましょう？もしありましたらお教え下さい！ (2018年7月10日 22時) (
レス) id: c5705b5379 (このIDを非表示/違反報告)
いずも(プロフ) - はじめまして！自分も立海めっちゃ大好きです！リクエストなんですけど、柳蓮二と勉強する話が読んでみたいです(´∀`) (2018年6月26日 0時) (レス) id: e6422e1b57 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
