身内贔屓 (ページ9)

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「でもA、ほんまに俺ら世代の芸人の中で話題になっとるで。」

「え、なんで。」

「単純にあのブクロが妹と暮らしてたら誰でも気になるやろ。あと、お前の顔が可愛いから余計に。ブクロの妹がめちゃくちゃ可愛いらしい、って言われとるで。お前。」

なにそれ。急にそんな話をしてきた森田さんにおかしさがこみ上げてきてプリンを食べる手が止まる。てか、そんな話で盛り上がるの？知り合いの芸人の妹の顔面の話で。それを言ったら、お前おれらを何やと思ってんねんと言われた。
でも自分の顔を褒められるのは嬉しい。お世辞だったとしても。

「えー、そんなん言われたらわたし調子乗るわ」

「Aが可愛いのは事実やから調子乗ってもええんちゃう。こんなん言うのもきもいけど、俺もあんたが上京してきて初めて会ったとき可愛くなりすぎてて誰かわからんかったし。」

「えっ、なんかそれ森田さんに言われたら鳥肌立ってきた、、今森田さんが言ったこと兄貴に言ってもええ？」

「あかんやめろ。俺が刺される。俺の妹になんてこと言ってんねん、しばくぞ、って言われる。」

いやそれは大げさやろ。

「てかなんで私の顔を芸人さんが知ってんの？」

盛山さん以外とは会ったことないやん。ラインとか電話で話したことはあっても。

そう言うと、森田さんはあー、とかえー、とか言って珍しく言葉を濁した。なんかおかしいなと思う。そしたら森田さんは気まずそうにしてスマホを触る手を止めた。

「すまん。俺がAの写真話するときに見せちゃったわ」

「いやあんたのせいかよ」

いやー。え？？あんたかよ。それしか言えない。
けど、まあ森田さんなら仕方ないか。と。別にどっかから流失したとかそんなんじゃない限りいいや。