身内贔屓 (ページ1)

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大阪に住む私。が、東京の高校に進学することになったのには色々な理由があるんだけれど、それは割愛して。

高1の春、私は人生で初めて親元を離れて生活することになった。

しかも生活先は実家のある大阪茨木から遠く離れた東京。そんなに悠々と行き来できるような距離でもない。

しかも私はまだ高校生なりたて、家事経験は親の手伝いをしていた程度、おまけに周りに言わせてみればおっちょこちょいでドジ。

だから父母が私が東京で一人暮らしをすることに不安に思うのは仕方のないことだった。

それでも、段取りというものがありはしないか。もう高校生なんだし、理解力がないわけでもない。

「東京であんたを一人暮らしさせるの心配なんよ。何回も言うてるけどね。」

上京する当日。駅に向かう車中で母さんはサラッと衝撃的なことを言った。

「大丈夫やって〜なんとかなるて、「それでね」え？無視？」

私の話を無視するように母さんは快活に笑った

「A高校卒業まで兄ちゃんのとこに居させてもらいな！！」

「は？え？ちょ、待ってや、母さん！！そういうのは前々から言っとくものじゃないん？！」

「いつ言っても一緒やよ笑兄ちゃんにはもう言ってあるから安心して」

「いやあいつ承諾しとんの？！」

兄ちゃんのとこ。
兄ちゃん、で思い浮かぶのは同じ関西に住む次男。
次男のにーちゃんの方は関わることも多いから仲良いけど。

でも東京に居るのは長男のほう。

兄弟の中で私だけ遅くに生まれた子供だから、兄弟の間での歳の差はえげつない。私と長男なんて20近くも離れている。もやは親と子。

一緒に過ごしたのは長男が東京に行くまでの数年間のみ。あとはちょくちょく実家に帰ってくるときに遊んでもらったり話したりする程度。

おまけに長男は芸人をしている。
いやネタおもしろいし喋りもうまいし芸人として生きている彼らはお世辞抜きでかっこいいと思う。

けどそれとこれとは話が別すぎる。
え？急すぎない？？

なんて、急に知らされた事実をぐるぐると考えていたらいつの間にか電車に揺られ揺られ東京駅に着いていた。笑えない。

数回着たことがある程度の東京駅。
首都ってすこい。わけのわからないくらいある出口。もはや迷路。

母さんに兄貴と住むことを知らされてから、私はお兄貴にラインをした。
そうしたら、本当は駅まで迎えに行きたいけど仕事で行けない。一人で自宅にこさせるのは危ない。