やからちゃうねん！ （5）

#198 ページ8

剛 side



光「愛してる」





…っ！





剛「僕も」





光「ほんまか？」





剛「うん愛してる」





そういうと光一は布団を被せてきた。





剛「…光一？」





僕の言葉は無視ですか？


未だ何も答えない。


ただぼーっと見ていると『クスッ』と笑われた。





剛「なんやねん(笑)」





光「全部、脱いで」





剛「…はい？」





光「やから全部」





剛「光ちゃんまだお昼」





光「うん ええから」





『ええから』て僕がよくない。


どうしようか迷ってると光一の手が僕の裾を捲ってきた。





剛「まっ…、」





光「なにもせぇへんて」





困ったように笑う。


…ほんまに？


とりあえず抵抗はやめた。





光「…剛、愛してる」





…？





剛「僕もやで」





さっきからそればっかり。


ゲームでもしとるんやろか…。


少し不安になる。





光「…」





…なんでお前もそんな顔やねん。





剛「光一？」





『かちゃ』


ベルトにかける手が止まった。





剛「なんかあったん？」





光「なんもない」





そこでふと思い出す。


自分が帰ってきたときのあの態度。


『光一が怒ってたんはなに？』





剛「光一…」





光「…」





剛「…なんかあったんやろ？」





右頬に左手を添える。





光「…」





俯きがちだった彼が『パッ』と顔を上げた。





光「剛…、俺がおるから」





剛「…？」





それだけ言うと僕に抱き着いてくる。


光一はいつも言葉が足らない。





剛「ね、どういう意味？」





光「ん？」





剛「『おるから、』なに？」





僕も抱き返す。





光「…おるから、」





うん、





光「…おんねん」





…あ、…そういうことか。





剛「僕には光一だけ」





衣服を着てないせいでこの心臓の音は包み隠さず聞こえるだろう。


それでもいい。


僕に伝わるこの振動も同じだから。





剛「せやから 少しくらい助けてくれてもよかったんちゃう？」





光「ん？」





剛「僕の方見向きもせんやったやろ」





女の子ガン無視しとる場合ちゃうぞ。


はよ助けんかい。





光「なんや寂しかったんか？」





身体を離せば『ニヤリ』と吊り上がる口元。


負けじと僕も言い返す。





剛「そうですけど、…なにか？」





『くるん』と後ろを向けば


目の前には並べられた料理があって 今さらやけど





剛「お腹空いた…」





なんて。

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