やからちゃうねん！ （5）

#195 ページ5

光一 side



コーヒーを飲み終え ただぼーっとしとると、





剛『ただいまー』





剛が帰ってきた。


いつもなら『おかえり』、言う処だが違う。


俺は今無性に腹が立っている。





剛「ごめん光一！お腹空いたよねっ？」





『かしゃかしゃ』と袋の擦る音がする。


こんなに遅なったんは買い物のせいか。





剛「今作るから！」





…。





剛「もうなあ アイツらの所為で帰るの遅なったんよ(笑)」





…アイツら？


アイツらって誰や。





剛「光一、」





…。


くそ…っ、





剛「…光一？」





むかつく…。





光「…？」





『ふわっ』と甘い香り。


１秒後に体温もやってきた。


俺は今剛に抱きしめられとる。





剛「どうしたん？」





甘い声。





剛「なんかあったの？」





優しい言葉。





剛「光ちゃん」





剛はすぐ俺を甘やかす。





剛「…あんなあ 聞いてほしいことあんねん」





『ブチッ』


スイッチがONになるのがわかった。


俺は剛の腕をすり抜けて真正面から言う。





光「なんやそれは。また『アイツら』の話かっ？

　 それともクラスの女の話か？悪いけど俺はどっちも聞きたない」





剛「ちゃう！」





何がちゃうんや。





光「もうええ」





俺はバスローブを持って脱衣所に。


…少し言い過ぎたか…。


そう思ったのは風呂に入って１５分後のこと。





光「…」





謝ろう。


剛は何をしたわけでもない。ただ同じクラスとして交流してただけ。


悪いのは誰がどう考えたって俺のやった。





光「…つよし…？」





食卓には盛り付けされてない料理が。


いつもやったらするのに…。


どこ行ったんや。





光「ぁ」





見つけた。


布団が膨らんどる。





光「つよし」





返事は返ってこない。


寝とる…？そう思ったけど違った。


布団を引っ張ると『グッ』とまた引っ張り返された。


そら怒るよな。





光「ごめん剛 俺が悪かった」





剛『…』





光「顔 見せて」





剛「…イヤ」





やっと聞こえてきた声は涙声で、





光「見たい」





不謹慎ながらもその顔を見たいと思った。





剛「イヤっ、」





光「つよし」





身体を滑り込ませ核心を抱きしめる。


少し震えていた。





光「ごめん…」





小さな背中。


俺はそんなコイツを傷つけた。





剛「…こうちゃ…、」





愛おしい。


俺にはなくてはならないもの。

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