やからちゃうねん！ （5）

#213 ページ23

光一 side




剛を起こさないようにそっと布団からでて時計を見る。


勿論 カーテンなんか開けない。電気もつけない。


枕を抱いて丸くなる可愛らしい彼のために。





光「…ふ…ぁ〜…」





『ぴくっ』





！！





剛「…スー…スー…」





、…はぁ…。





光「行ってきます」





『ちゅ』


頬にキスをして寮を出た。





会長「えぇ、全ての準備が整った。

　 あとはモニュメント作成のため全校で協力して絵を描かなければならない」





光「次のページめくってください」





「…、会長 これちょっと…」


「作成時間は決められています。短時間で難しいのでは…」





会長「問題ない、美術部が部活時間の時に優先してくれるそうだ。」





光「他に質問は…」





会長「、ないな。では解散」





最近分かってきた。


コイツは性格悪くて不愛想で相変わらず威圧がすごいけど、


生徒会の中で頼れる存在なんやって。


ただ単に『生徒会長』ていう肩書やないんやって。





会長「堂本 放課後『日舞』の先生がいらっしゃるそうだ」





あかん 前言撤回…っ、





剛「光一、」





光「？」





珍しく教室で俺の名前を呼んだ。


…なんやろ。





光「今日 生徒会やってん」





剛「知っとるよ」





？


剛の左横の奴が俺を睨む。





剛「朝 食べてへんのやろ？」





今度は近づいてきた。


ほんま珍しい。





剛「おにぎり作ってきたんやけど…」





おにぎりっ？


ラップに包まれた丸いおにぎりを片手に２個持っていた。





剛「…いる？」





光「いる」





いらんわけない。


俺の為に作ってくれたんやから。





「「「…ジー)」」」





そんな睨んでもお前らにはない、ちゅねん！





光「ありがと 剛」





剛「あ、うん」





そらされた視線。


事が終わったように自分んとこに帰って行った。





光「、…うま…」





丸いおにぎりは初めてやけど、剛ん家はそうやったんやろな。





「お、おい光一」





光「なんや」





「それ一口…」





光「やだ」





『パクリ』と最後の一口。





「あーー！！」


「…食べた…」





食べてなにが悪い。俺のや。

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