46Monster.封印 ページ8
S
「それじゃあ、僕は少し書庫にいるね。A、何かあったらおいで」
うらたんの耳が気になっている様子でいじっているAに声をかける
顔を合わせて、はーい。と返事をもらうと
「なんかあっても俺いるから大丈夫だよ」
うらたんは僕に目も合わせず言った
書庫に着けばさっそく本を探す
ずっと探し続けてる
自分のことを
坂田と出会う前の記憶が全くない
どこで生まれて、どこで育って、どうしてあの場所にいたのか
他の3人よりも魔法が豊富で、割となんでもできてしまう
僕は一体何者なのだろうか
今もこうして、普通なら歩き回って探すはずの一冊の本を魔法1つで探している
でも、魔法で探したところで必ず見つかる訳ではない
無ければないし、わからなければわからない
「…もしかして、うちの書庫にはない？」
最低限、知っておかなきゃいけない本は全冊揃ってる
種族が載った本がないなんてことあるのだろうか
書庫だって狭くないし、こう言った本を読む人はいない
そもそも誰かが持って行った形跡もない
……何度探しても無いものは無いか
そうなったら聞くのが早い
…やまだと同族って本当なのかな
もし本当なら、僕は魔法使いだ
魔法使いだとしたら、3人より魔法のストックが多いのも
睡眠1つで魔力が回復するのも納得いく
もし、魔法で自分の記憶を呼び起こせたら
やってみる価値はありそうだ
そう思って魔法を使うと
酷い頭痛に襲われた
立っていることがままならずその場に倒れ込んでしまう
「その封印は、決められた時間が経つまで解けない高等魔法だよ
君でも解けない。やめときな。脳が死ぬ」
「…やまだ」
言葉通りにやめると、スっと痛みが引いていく
「…うんこだった」
「なんでたぬき姿だといつもそう言うのさ…」
同時刻
死神は化け猫の元へやって来た
「うらさん。Aのことで話があんだけど…」
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作者名：桜沢 彩咲 | 作者ホームページ：
作成日時：2024年1月28日 5時
