54Monster.見えたもの ページ22
「俺の話はこれで終わりだよ」
全部教えてくれたうらたさん
家族を失って、仲間を得て
あれ…4人とも同じ…？
「長くなってごめんね」
謝ってきたうらたさんに私は咄嗟に声を出した
「大丈夫！話してくれてありがとう」
どうして
どうしているみのちゃんは全部知ってるんだろう
自分のことも、相手のことも
どこまで知ってるんだろう
そんな疑問はうらたさんに聞けなかった
代わりに、本人から聞くことができた
「…あぁ、うらたさんから聞いたんだ。あたしはもうなにも見てないよ
んー…大きな出来事が起こるなら、それから先…みたいな
うらたさんなら、Aちゃんに出会うときと、その先の未来
それ以前の未来は見ることができなかったみたいだよ」
なんだか便利なようなそうでもないような
「私と出会うことが、大きな出来事だったってこと？」
「そうみたい。うらたさんは今でも人間が大嫌いだからね
そんなうらたさんが人間のAちゃんに惚れ込むなんて
ある意味めちゃくちゃ大きな出来事じゃない？」
確かにそう言われれば…
あれだけのことがあれば人間を嫌うし
そんな人間である私を想うのは奇跡とも思える
何度生まれ変わっても、人間であり続ける私のことを
探して、見つけて、過ごして、看取って、また探して…
気が狂いそうになることを何度もしてる
「他の人は何が見えてたの…？」
うらたさん以外にも見てるはず、と思い聞いてみる
「…悪いけど、あたしも詳しくはわからない。8年の記憶が無いから
志麻さんはコウモリに出会うのが最初に見えたみたい
坂田さんはうらたさんと同じで、Aちゃんと出会うこと
センラさんは最近起こった出来事。過去を思い出すこと」
まって、ほんとにどこまで先を見てたの…
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作者名：桜沢 彩咲 | 作者ホームページ：
作成日時：2024年1月28日 5時
