＿。 ページ12
「なんで…なんで？おれ…どうして…？」
次々と溢れ出る記憶
いつも優しく、時に厳しい母と
笑い方が愉快で、様々な魔法を教えてくれた父と
母に性格がそっくりで、好奇心旺盛な姉
1つの大きな火事で、俺はものの数分でたった3人の家族を失い
ものの数秒で、その全ての記憶を姉の魔法で封印されていた
「なんで、おれ、忘れさせられてたん？お姉ちゃん、なんでこんなことしたん？」
忘れたくなかったのに
どうして忘れなくてはいけなかったのか
目の前の悪魔に聞いても変わらないのに
「知らないよ……うらたさんか志麻さんに聞いてみたら？
あの2人確か弟いたでしょ」
そうか、それだ
お礼を言って2人のところに行こうとしたら、ドアが開いた
その向こうには、ちょうど話したかったうらたん
「あ、ちょうど来たじゃん」
そう言っては大声で「うらたさーん！」と呼ぶいるみのちゃん
聞くのはいいけど、どうやって聞いたらいいんだろう
次の疑問はそれだった
呼びかけに軽く返事をしてこっちに歩いて来たうらたん
なんて言おう
「…あのさ、うらたん」
「どうした？」
何かを察したのか、とても優しい声をしていた
「あのさ…俺、思い出したんだ。昔のこと」
順番に話そうとまずはここから
少し驚いた顔をし、マジか。とこぼしていた
「それで…うらたん、もし俺みたいに魔法使えて、弟くん以外全員が死にそうになったら…
弟くんに、記憶を封印する魔法…使う？」
ぐるぐると聞き方を考えつつ出てきた言葉
うらたんはこの問いに対し、少し唸りつつ考えていた
記憶を封印する魔法を弟にか…と呟いた数秒後に、彼は答えた
「状況によるけど、多分使う」
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作者名：桜沢 彩咲 | 作者ホームページ：
作成日時：2024年1月28日 5時
