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33:教会の吸血鬼【朔間凛月】 ページ35

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「おいっす〜、今日も元気?」


教会のとなりの畑で水やりをしていると、後ろから日傘をもった彼がやってきた。
真っ白な肌に漆黒の黒髪、血を滲ませたような真っ赤な瞳に甘ったるい声。
にっこりと笑った彼の唇には隠された八重歯の形がしっかりと浮き上がっている。
何を隠そう、彼は世にも珍しい本物の吸血鬼なのだ。


「元気そうに見えるなら元気でしょう」
「じゃあお疲れだねぇ。あっちの木陰で休もうよ〜…?」
「まだ作業が残っているので。お一人でどうぞ」
「ちぇ〜、つまんないの」


あまり関心を示さずにそう返せば、唇を突き出して拗ねる彼。
自分ひとりでは行くつもりがないのか、しゃがんで私の様子をじっと見つめ始める。

眺めたって大して面白いことなんてないのに。
それに、長く生きている彼なら農作業風景より美しいものを知っているはずなのに。
彼はそれでも飽きずに、まるで聖母のように私を見守り続けるのだ。


「ふぅ…疲れた…」
「お疲れ様…♪ もっと人手を増やせばこんな苦労、ひとりで負わないのにね〜?」
「そうさせてくれないのはあなたたちでしょう」
「だってゲームに邪魔者は要らないじゃん…?」


くすっと笑って私の額を拭いてくれる。
悪魔のアイツとは大違いで、この人は私をドロドロに溶かして砂糖の沼に突き落とす。
一度足が浸かってしまえば二度と抜けられない、恐ろしい沼。

笑顔のまま私の手を引いて、さっきの木陰へと導かれる。
そして目新しいベンチへと座らされると、ごろんと横になり頭を膝の上に乗せてくる。


「あー涼しい…。ほんとここ居心地いいよねぇ…」
「こんなベンチ見たことないんですけど」
「俺がさっき置いたの。どう?いい感じでしょ?」
「…否定はしませんけど…」
「肯定だけしときゃいいの〜」


目を瞑り、ネコみたいに丸くなってゆっくり息をする。
その姿はまるで吸血鬼なんて化け物に見えなくて、
むしろ側から見たら仲の良い恋人同士に見えるかもしれない。


「…あいつが来ちゃうから…今は…ゆっくりさしてよ、ね……」


徐々に小さくなっていく語尾とともに、彼は眠りについてしまったようで。
はやくも規則正しい寝息が聞こえてきた。
起こさないように頭を撫でれば、サラサラと水のように艶めく黒髪。


「……おやすみ、リツ」


アイツが来るまでは、おやすみ。
そう言って私は生まれたてみたいに綺麗なおでこにそっと唇を押し当てた。


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前回の続きもの
授業中なので甘々書けないです;;

34:パン屋の天使【朱桜司】→←32:教会の悪魔【月永レオ】



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くるみ - こんにちは!レオくんの話すごく切なかったです。幸せな話もまた読みたいです!これからも頑張ってください! (6月27日 13時) (レス) id: 1520c09c44 (このIDを非表示/違反報告)
さゆな(プロフ) - レオのアンドロイド切ない… (6月25日 20時) (レス) id: a613cbb65f (このIDを非表示/違反報告)
(名前) - 初コメ失礼します!レオくんのケーキとフォークの話がとても切なくて少し悲しい気持ちになりました。読み手をそういう気持ちにさせられるってすごいと思います!応援してるので頑張ってください! (6月3日 22時) (レス) id: fe02a3a839 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油 - adoraさんの書くせないず可愛くて大好きです!更新いつもありがとうございます…!これからも頑張ってください!! (5月21日 6時) (レス) id: bc4ed3887c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:adora | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年4月24日 0時

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