【MHA】朱に染まる (ページ7)

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※No.5 『夜のデート:荼毘』　続きページ7

清潔そうに見えるベッドにAは倒れ込んだ。

　実際、これからAと俺がその上で行う行為は清潔とは言いがたいものなのだが。

「うーん……」

　どうやらAはウイスキー一杯とカクテル二杯で相当酔っぱらったようだった。

「おい、大丈夫か？」

「うん……ねえ、荼毘……シよ？ね、お願い」

「ああ、いいぜ」

　どちらともなく近づき、唇を合わせる。

　柔らかく優しいAの唇の感触。

　そっと触れなくてはいけないはずのものを乱暴に扱いたくなる俺はおかしいのだろうか？

　長いキスが終わると唇の間に銀色の糸が本の少しだけ垂れて切れた。

　すぐにまた俺とAが唇を合わせたからだ。

　固く抱き合い、唇をつけたままベッドに倒れこみ、白いシーツをグチャグチャにして俺とAはお互いを貪るようにして抱き合う。

　どこかチグハグでお互いを見ているようで見ていないような、体はそこにあって熱く息づいていても心は迷っているような、二人だけの秘密の行為。

「あ……荼ッ毘ッ」

「ッ……A……」

　Aの暖かい体に触れていることに安堵している自分と、どこかそれを不安に思っている俺がいる。
　
　多分、Aは俺の……

　いや、今そんなことを考えるのはやめよう。
　今は、Aと直に触れ合っていられる貴重な時間なのだから。

「荼毘……」

　こっちを見て！と目で訴えてきているAの全てを自分のものにしたいと思う、思ってしまう。

　けれど、それは許されないことであり、不可能なことでもある。俺がヴィランである限り、そして、Aがヴィラン連合に協力し続ける限りは。