29*好きですと、 ページ49
カナダside
(……気づいたのかなぁ)
さっき、額にキスをしたこと。でもなぁ。
いくら触れてもぴくりとも動かなかったしなぁ。
だけど、あの取り乱しようは尋常ではない。
それに僕のほうちらちら見てたし。
今もそう。もぐもぐとリスみたいに口一杯に
パンケーキを頬張って咀嚼する彼女は、耳元が少し赤い。そして僕の視線が気になるのか、度々此方を伺っては目が合う。
男性に慣れていない初な反応が可愛らしくて、
告白はしないと決めているのに、油断すると口走ってしまう可能性がある。気を付けなくちゃ。
「それで、そのときイギリスが………」
「面白い方ですね、イギリスさん。」
アメリカが話始めて、Aちゃんが相槌を
打ちながら聞いている。そういえばアメリカの話をこんなに真剣に聞いてくれる人、Aちゃんが初めてかも。いっつも俺はヒーロー(以下略)ばっかり言ってるアメリカだから、
無理も無いけど。
見つめる程に、関わるに程に、彼女の優しさに触れていく。良いところも、悪いところも含めて愛おしいと感じる。
駄目なのになぁ。
柔らかい微笑みを、僕だけに向けてほしい、なんて思ってしまうんだ。
「あ、クマ二郎さん」
「ナンダ?」
「口にシロップ付いてますよ」
「オオ、アリガトウ」
「Aは気が効くな!」
丁寧にクマ吉さんの口元をティッシュペーパーで拭くAちゃん。
すると、彼女の口にもシロップが付いているのに気が付いた。
「Aちゃん、君にも付いてるよ?」
指でそれを掬いとって口に含む。ん、甘い。
Aちゃんに視線を戻せば、
「な、なななななっ、かっかかかかカナダさ、」
真っ赤っ赤になった君がいた。
微笑ましくなったのもつかの間、次の一言で
僕には羞恥が体を駆け巡ることになる。
Aちゃんは身を乗り出して耳元で囁いた。
「カナダさんっっ!!きっ……キスとか、今のとか、かっ勘違いするようなこと、止めてくださいませんかぁ………!!」
え、やっぱり、気付いてたの?
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作者名:タスク | 作成日時:2015年2月13日 22時