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中国side
彼女の第一印象は、優しい、だったある。
何かとぞんざいに扱われる我は、Aの
優しさに触れて、そう強く感じて、
大人しく落ち着いた言動、細やかな気配りが
できる彼女の隣は、そよ風の吹く木陰のような不思議な心地よさがあった。
その感覚は、今まで長い年月を生きてきて、
「………初めて、だったあるよ、A。」
国々といるときに見せる笑顔、楽しそうな表情。
絵を描くときの真剣な姿勢。
どれもこれも、自分の目にはとても輝いて
映っていた。
そう見えるのは、
「……情が、移ったってことあるか。」
たった一人の室内で独り言を呟いた。
香港あたりに見られたら変なものを見るような目で見られるけれど、もう深夜近くで皆
寝ているので心配はない。
はあ、と意味もなくため息をついた。
国の化身という異質な存在を、快く受け入れ、
真っ直ぐ向かい合ってくれる彼女。
そう、そうやってここまで真摯に接してくれる
人間は、初めてだったのだ。
「………Aは、いろんな意味で初めて、
ある。」
あへんが淡い想いを寄せたのも、
日本が心から大切にしたのも、
自らが妹のような慈しむ存在に思えたのも、
人間の中でAが初めてだった。
、
でも、かといって、あの二人のどちらとも
結ばれるとは限らない。
自分とずっと一緒に過ごすことも出来ない。
国の中でも長く生きた経験から、分かっていた。
人間と国が想い合い、共に人生を歩むのは
不可能なのだと。
分かっている。分かっているのに、
Aにも、日本にも、………あへんにも、
、
、
、
、
幸せになって欲しかった。
「………しがらみが、多すぎるあるね。」
Aにとっては、人並みに恋をして、
結婚し、子供をつくり、一生を終えるほうが
幸せに決まっている。
でもそうなると、二人が報われない。
だけど、仕方ないのか。
いや、それとも……………
堂々巡りな考えを打ち消すように首を振った。
嗚呼、我らしくねーある、こんな他人のことを
考えるなんて。
そう思いながらも、このことを思考から
追い出すことは出来なかった。
、
、
Aにとっての幸せは、我には推測する
しか出来ないある。
でも、必ず幸せになってほしいあるよ。
そのために、
彼女の、
(支えになれたら)と、
強く思うある。
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作者名:タスク | 作成日時:2015年2月13日 22時