23*支えになれたら ページ35
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「やって来たヨ!ショッピングモール!!」
明るく楽しげな台湾の声が、大きな建物に
響く。
「ほらほらベトナムもAもテンション上げて!イエー!!」
「「……い、いえー…」」
ベトナムも私も、台湾のテンションの高さに
困惑していてついていけないようす。
というかこんな人が大勢いる場所なんて
来たくなかったな………。
しかも両脇には変装した二人。
不審者二名に連れ去られる一般人と回りに
判断されるのではないだろうか。
はああーー、と、本日何度目か分からない
ため息をつく。
そんな私を見かねて、ベトナムが声をかけて
くれた。
「A、気が乗らないのは分かるけど、腹をくくって行こう。」
ああ、天使です、ベトナムさん。
そのマスクとサングラスがなければ。
きっと私の目は死んでいるだろう。菊のように。
諦めがついたところでまた一つふうとため息を
漏らし、二人に連行されていくのだった。
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「……やっと、帰るんですね、やっと、やっと。
よっしゃあ………。」
ハァイ、Aちゃんだよアハッ☆
………すみません。いろんな店に連れていかれた挙げ句、着せ替え人形のごとくいろんな服を
着せられてイカれたんです、はい。
「まぁ買うもの買えたしネ!!楽しめたヨ!!」
台湾のその言い分が理解できない。
第一コミュ障予備軍の私は店員さんと
話すのでさえいっぱいいっぱいだった。
同意を求める眼差しをベトナムに送ると、
彼女は(マスク越しだが多分)苦笑して、
「……Aには少し悪いけど、私はこうして
女の子同士で買い物なんてしたことなかった
から……、楽しかった、すごく。」
そう言って、ふわっと笑う。
マスクをしているのとサングラスで表情はあまり見えなかったが、雰囲気から笑っていることが分かった。
思わずベトナムのマスクとサングラスを外して
顔を凝視する。
その笑顔はすごく綺麗で、美しくて、
忘れまいとしっかり記憶した。
「台湾ちゃん、ベトナムさん。」
声をかけると前を歩いていた二人が
振り向いた。
「二人が喜んでくれるなら、私も嬉しいです。
…………また、来ましょうね。」
そう言えば、変装越しに二人はとびっきりの
笑顔を見せた。
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作者名:タスク | 作成日時:2015年2月13日 22時