14*これから、 ページ23
イギリスside
「Hello,……って、早いなロシア、ベラルーシ、
ウクライナ、A。」
まだ集合時間より大分早いというのに、
この三人きょうだいとAは、もう会議室に
いた。
「イギリスくんも早いね〜?」
いつもの、ロシアの声。
「………おう、……って、……ん?」
俺はこのとき異変に気付いた。
……ベラルーシが、Aの腕と自分の腕を
絡めて離さない。
反対側の腕も、ウクライナによって
そうされていた。
両側から抱きつかれているAだが、
極めつけは、彼女を後ろから抱き締めている
ロシアだ。
……いろいろおかしいが、とりあえず、
何 が あ っ た ?
こいつらこんなに仲良かったか?
あのベラルーシがロシア以外のヤツに
なついてるんだぞ?
しかもロシアなんかAを見つめる目が
見たことねぇくらい優しい……!!
Aだって平然としてて嬉しそうだし……!!
本当にマジで何があったんだ教えてくれ!!
意を決して、
「な、なあお前ら……何があったんだ?」
と、問いかけてみた。
するとベラルーシが自慢げに、
「Aは私たちと友達になったんだ。
そうだろう、A。」
と胸を張って言った。
「はい、そうです!」
ベラルーシに対して、明るくそう返すA。
いやいやいやAお前『そうです!』じゃ
ないだろ!!大丈夫なのかよそんなの承諾して!!!
はらはらと見守るが、本人たちは嬉しそうだ。
そして、
ふわりと、花が綻ぶようにAが笑った。
「…………っ!!!」
それを見て一瞬、息をのむ。
苦笑や呆れの表情が多いAの、満面の笑みを
見たのは初めてだったからだ。
さっきまでの心配も、なりをひそめていく。
残ったのは、じわじわと沸き上がる熱い感情と
不自然に跳ねる心臓の音だけ。
これが恋の前触れだと分からないほど俺は
鈍くはないが、そうと決めつける証拠としては
弱く。
でも多少なりとも俺の中でのAへの意識が
変わったことは確かで。
(これから、)
どんな感情を彼女へ抱くのかなんて
分からないけれど。
少なくとも、彼女を笑顔にしたいという
思いは、保護者のような立場からの慈愛に
しろ、恋情にしろ、確実に俺の心にあるものだ。
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作者名:タスク | 作成日時:2015年2月13日 22時