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どんどん暖かいものが拡がっていき、そこが順に冷えていく…

まるでこの人の心を表しているようで

胸が痛い。

けれど

泣けるいうことは、少し感情が落ち着いてきたのかもしれない。

ちゃんとこの人を愛するファンや、周囲のスタッフや、俺たちや

…俺が

側に居るということを

思い出してくれたのだろうか…


「お…れ、……ちゃん、と、…」

「大丈夫。あなたはちゃんとやれてるし、これまでもずっとちゃんとやって来たよ。

…ごめん。…いつもあなたが」


この人一人に向けられた悪意とは限らない。

もしかしたら、俺らの誰もが標的になった可能性はあるんだ。

優しいこの人はターゲットになりやすい…


ねぇ智くん。

今は突然の事でパニックになっているファンの子達だって

きっとわかってくれる日が来る。

あなたはこれまでも

いつもそうやって人を信じて生きてきた純粋な人だ。


正直こんな仕事をしていたら、ありもしない熱愛をでっち上げられることは

珍しくはないし、ある程度の覚悟はある。

女友達くらい居るんだし、ましてあなたは

男女の区別なく付き合える人だ。

けれど

傷つきやすい心を隠したあなたを故意に傷つけようとして

なによりもあなたの大切な世界と

あなたの尊厳を

謂れなく踏みにじった

誰かはわからないそいつらを


俺は絶対に許さない。


だから



「…一回座ろう」

俺の肩の上で、らしくなく声を上げ続けている彼を

そっと部屋の中へ促した。

テーブルの上に、埋もれんばかりのリンドウの花。

「……あ、…こんな、ん…なか…った」

良かった、こんな時だけど

あなたの目に留まったんだね…


「…ねぇ智くん。

この花、分かる?」

「え?…」

「リンドウ。聞いた事ある?俺もよく知ってるわけじゃないけど…」

「見たことは、ある…」

俺がホテルに頼んで、手に入るだけの花を、この部屋に飾るように言ったんだ。

ねぇ。

あなたの色をしたこの花の

花言葉なんて、知ってるかな?

『あなたの悲しみに寄りそう』と言うの。

そして

『勝利』

『正義』

『誠実』・・・


今のあなたにこそ、相応しい。

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作者名:tororo | 作成日時:2014年6月1日 1時

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