いつも貴方の側に Vol.7 (ページ23)

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ぽすっ

「…っ」

ホテルに着いて、あなたに目深にキャップを被せた。

そのまま出迎えた事務所の関係者に

「…メンバーが揃った段階で、俺の方に、連絡して」

それだけ言い置いて、俯くあなたを促して2人だけでエレベータに乗り込んだ。

「…わかりました、あの」

「頼んだよ」

この事態を食い止められなかったことへの自責を感じているのなら

この人の側を無駄にうろつくより、すべきことがあるはずだ。

俺の部屋の前に立ち止まり

「荷物取ってくるから、一緒に来て」

「……え」

あなたの返事を待たずに、手を引いて一緒に中へ。

入り口に置いたままのキャリーバッグを引き出し、そのまままた廊下に出る。

時間にして30秒足らず、その間廊下で一人にさせるのすら。

「…しょ、くん、…あ」
「部屋、開けて？」

「…」

辛そうに眉を顰めるあなたの目を、真っ直ぐに見返す。

本当に自分に責任があるのなら

俺に面倒をかけると思って梃子でも譲らないだろう。

けれど今のあなたは

「…」

すっと視線を逸らすと、黙って部屋を開けた。

それだけあなたの心はまだ弱っているのだと、思わず唇を噛んだ。

あれ以来、俺は可能な限りこの人の側に居るようにしている。

この強くて脆い人を、なるべく一人にしない様に。

ここへ来てからは、人前に出て普段通り振舞うことを強いられるから

その反動が怖くて、同じ部屋に宿泊していた。

一昼夜離れる前

『大丈夫だよ、俺、…二日間乗り越えたから…だいじょぶ』

心細そうなくせに強張った笑顔でそんなことを言うから。

それでも他のメンバーやマネージャーを側に置くのは

『それは、いい。悪いし。』

二宮が悔しそうにはしていたが

この人が(実際はそんなことないのに)迷惑をかけてもしょうがないと思えるほど

甘えてもらえるのは

俺だけだから。

こんな時に優越感も何もない

俺が。

俺が、この人の側に居たい。

そう思っている。

部屋に入った途端、崩れるようにベッドサイドにへたり込んだ人に

「とりあえずシャワー浴びな」

あえてハッキリと命じるように言った。

「…」

「ほら。立って」

腕を取って引っ張りあげると、まるで操り人形のようにされるがまま。

一日一日、密度が落ちていく…

そう思ったら、たまらなくなった。

「…よく、頑張った」

絞り出した俺の言葉にゆっくりと顔を上げたあなた。

その眼にググッと涙が盛り上がり、それは

「…っ」

勢いよく溢れだした。