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23話  ページ27

次の瞬間には、俺は女に馬乗りになっていた。

トランペットの旋風の影響か、ステンドグラスは無惨に砕け粉々に、雨のように降り注いだ。
かくいう女は、現状を理解しきれていないようだった。

「俺はお前を許さない」

右手で、女の顔を殴りつける。
何度も。
何度でも。

殺す。
殺す殺す殺す殺す。

「―殺す。」

女の呻く声が聞こえる。
まだだ、まだ足りない。

喉が潰れるまで、懺悔さえできなくなるまで。
殴って殴って、殴り続けて、その憎たらしい顔を見る影も無くしてやる。

顔だけじゃない、首も、肩も、俺は殴っていた。
左腕がないのが酷く煩わしい。片手だけで殴ることすら面倒だ。

「…が…ッ……」

女が血を吐いた。
吐き出された血が俺の右手に飛び散る。

「…きったねぇな……。まあいいや」

構わず、俺は殴り続けた。女の顔は腫れて、もはや輪郭が変わってしまっている。
左目は潰れ、歯は折れて口は切れて、顔中から血を流している。
殴るたび、俺の右手にも血が張り付く。

汚い、気持ち悪い。でももうどうだっていい。そろそろ終わらせる。

「汚れた蝶だってこの世には存在するんだよ、クソ女」

俺は汚い蝶でいい。穢れることでこいつを殺せるのなら。
嫌いなものを、見たくないものを消すことができるなら、綺麗でなくて一向に構わない。

立ち上がり、女の鳩尾を強く踏みつける。
女は呻き、声にならない悲鳴を上げた。

「なぁ、今どんな気持ちだよ?…ハッ。もう声も出ないか。ざまあみろ」

…全部、お前が悪いんだ。

帯に引っ掛けていた銃を取り、構え、もう動けないであろう女に照準を合わせた。
躊躇いなく、俺は引き金を引いた。
自分の表情は見えないが、多分笑っていたと思う。


「こんな汚れた俺に殺されちゃって…」

「ざまぁねぇなぁ…?」



女の血で赤く染まった床のその上から降るガラスの欠片が、酷く美しく見えて吐き気がした。

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鮭植物 - 色々あって、15話加筆しました。 (2018年2月5日 19時) (レス) id: c73bb7fdfd (このIDを非表示/違反報告)
涙戯@そこひれ(プロフ) - あけましておめでとうございます、日に日に増えていき楽しくなってきました、今年の黒獏もよろしくお願いいたします (2018年1月1日 18時) (レス) id: 4411fb7380 (このIDを非表示/違反報告)
鮭植物 - 皆様、明けましておめでとうございます。作者陣の都合もあり、更新は昨年に引き続き亀のようにゆっくりになるとは思いますが、今年も黒獏を宜しくお願い致します。 (2018年1月1日 14時) (レス) id: 069861b6b5 (このIDを非表示/違反報告)
沫斗@noir(プロフ) - コメント欄かなしい、、、、 (2017年10月26日 20時) (レス) id: 4411fb7380 (このIDを非表示/違反報告)
Alyssum - MFさん» ドンマイ (2017年8月7日 15時) (レス) id: bc44d2c5f5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:そこひれ@そこの引き出しレタス x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php  
作成日時:2017年5月28日 18時

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