２1話 ★ ページ25
「えっと…はじめまして」
少女は少し怯えたように私を見上げた。
「怖がらなくていいよ。君に危害を加えに来た訳ではないから」
「……」
「翡翠っていいます。君は、翠葉っていうんだよね」
手を差し出すと、彼女は反射的にその手を取った。
「あ、えっと････なんで名前」
自分の行動に驚いたのか、すぐさま手を離した。
「あるひとに教えてもらった。君に会いに行けと、そう言われたから此処へ来た」
どういう意味かよくわからないといった風に、少女は首を傾げる。
「わからないよね。私もちょっとよくわかっていないから。大丈夫」
話している内に少女の警戒もある程度は解けたので、改めて宜しくと言いながら再び手を差し出すと、今度は彼女も自分の意思でその手を取った。
『………あきら……』
「え？」
「…？」
手を握った瞬間に、頭の中に誰かの声が響いた。懐かしい、声。けれどその声の主が、私にはわからなかった。恐らく彼女にも聞こえたのだろう、また首を傾げている。
「今の、君にも聞こえたのかい？」
「あぁ。なんだったんだろう。あきらって、何か聞き覚えとかある？」
「いや、特には…」
二人で考えてみたのだがやはりわからない。だから謎の声の件は横に置いておくことにした。
「ねえ、君、さっきも言ってたけど、どうして私に会いに来たんだい？」
「いやぁ、それが私にもよくわからないんだ。さっきも言ったけど、あるひとに会いに行けって言われただけでね。何故会いに行けといわれたのかわからないんだ。あのひとには謎が多すぎる」
「そうか。」
彼女と話していてわかったのだが、彼女は年齢の割に少し大人びた喋り方をする子だった。というか、少しあのひとに似た喋り方である。見た感じまだ小学生に見えるのだが。そういうと少女は少し怒って、「中学生だ」と主張した。全然そんな風には見えないんだけど。身長が低いだけなのかな。
「それはそうと、君の名前のみどりってな。私の名前にも同じ漢字が入ってるんだよ」
「へえ、そうなんだ。なんかすごい偶然だね」
「偶然では、ないんじゃないかなぁ…」
いつもならただ好きな本の登場人物の受け売りというだけなのだが、今回は。
なんだかよくわからないが、本当にそんな気がしたのだ。
「そろそろ終わった頃かな… じゃあ私は自分の所に戻るよ」
「あぁ。今日は普通に楽しかったよ」
「私もだよ。意外と気が合うようだな、私達は」
またねと手を振って、私は翠葉の夢から出た。
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鮭植物 - 色々あって、15話加筆しました。 (2018年2月5日 19時) (
レス) id: c73bb7fdfd (このIDを非表示/違反報告)
涙戯＠そこひれ(プロフ) - あけましておめでとうございます、日に日に増えていき楽しくなってきました、今年の黒獏もよろしくお願いいたします (2018年1月1日 18時) (レス) id: 4411fb7380 (このIDを非表示/違反報告)
鮭植物 - 皆様、明けましておめでとうございます。作者陣の都合もあり、更新は昨年に引き続き亀のようにゆっくりになるとは思いますが、今年も黒獏を宜しくお願い致します。 (2018年1月1日 14時) (レス) id: 069861b6b5 (このIDを非表示/違反報告)
沫斗＠noir(プロフ) - コメント欄かなしい、、、、 (2017年10月26日 20時) (レス) id: 4411fb7380 (このIDを非表示/違反報告)
Alyssum - MFさん» ドンマイ (2017年8月7日 15時) (レス) id: bc44d2c5f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そこひれ＠そこの引き出しレタス x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2017年5月28日 18時
