君との狂った時間【短編集】

【終わりのセラフ】【百夜ミカエラ】依存性 ページ5

『あれ？ミカ君？どうしたの？』

廃れた道端にしゃがみこむ君

『あ、わかった!!苦しいんだ？血が飲みたくて』
"なんでそれを"

そんな顔しちゃって、可愛い

「御前、クルルの血縁、か？」

随分苦しそう
私なら君を楽に出来るんだよね

『そうよ、クルルは私の娘』

「…母親だったのか」

『そうよ？あの娘がどうかした？』

「………」

黙らないでよ、つまらない
私はあの娘ほど大人ぶって真面目に考えるのを放棄したのよ

最近の楽しみはフェリドと遊ぶ事位なんだから

『血、だっけ？ミカ？』
「ミカと、呼ぶな」

『…血が欲しいなら言えばいいのに、従順にさ』
「………だれ…が……」

『共食い、吸血鬼に血を吸われるのは程好い快感だし、』

共食いは経験済み、でも、君はとてもいい薫り
彼とは比べ物にならないわ

『あの娘は当分帰ってこないわよ？』

「そん、な､」

『あの娘も貴方がそこまで餓えてるなんて思ってないでしょうし』

[ね？私に流されて仕舞いなさいよ]


凄い勢いで壁に叩き付けられた私

この位なんとも無いけど、ふらついてみる

「御前の、屋敷に案内、しろ」

『あれの裏側』

簡単に言えば、君は私を横抱きにする

久しぶりだわこの浮遊感

屋敷につけば、君は唐突に言う

寝室はどこだ、と

私が言えば、素直に向かう君
もう私は歩けるのに、横抱きのまま

寝室のベットに投げられ、ベットに沈み込む

ゆっくりベットに乗った君

ベットが軋んだ

『血が欲しい？私が欲しい？』

悪戯な問い

まさか君からそんな風に返ってくるなんて


「りょーほう、ください。」


『いいの？優ちゃんは？』

「五月蝿いよ、Aさん」


私の首に手を置く君


『名前、知ってたんだ』
手を沈める君

「まぁ」

そして君は、私の頬に八重歯を突き立てて
血を啜った


君に抱かれて、吸われて殺されて
何度も何度も息が止まった
人間なら死んでるだろう
でも、私は人間じゃないから
何百年と生き長らえる鬼だから
私は死なない
私は死ねない
一度の快楽を求めるし
一度の苦痛を甘く受けいれる
甘受するかのように
感受するかのように
鈍った身体に若さは毒で
私を蝕んだ
身体の髓のちょっと先まで、蝕んだ
きっと私の血と身体も若い君には毒だろう

"またおいで"
"何度でも抱かれてあげる"
"何度でも殺されてあげる"
"君の欲求の捌け口にしてくれていいよ"
"その代わり、貴方の時間を"
"貰うから"

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