君との狂った時間【短編集】

【パンドラハーツ】【ザークシーズ・ブレイク】君を代わりに ページ11

『おはようございます。ザークシーズ様』

君の声で目覚める毎日

『お休みなさいませ。ザークシーズ様』

君の声で寝付く夜

悪夢を見なくなった

君は昔の主人の御嬢様に似ていた

あの小さかった、私が殺したも同然の御嬢様が

成長したされた様な姿だった

それを言えば、君は

『その方の代わりで構わないのですよ？』

と小さく微笑んだ


あくる日、君は髪を上げていた

その姿はシャロン御嬢様の母上に似ていた

「シェリー様に似ている」

それを言えば、君は

『代わりで構わないのですよ、シェリー様の代わりなど烏滸がましいですが…』

と静かに微笑んだ


あくる日風邪を引いたという君の部屋に行けば

君は儚げで小さく

シャロン御嬢様に似ていた

それを言えば、君は

『それで良いのです。代わりで構わないのです』

と悲しげに微笑んだ



その表情だけは、誰にも似ていなかった



あくる日、君は唐突に居なくなった

何故かは知らなかったが胸騒ぎがした



屋敷中を探し周り、君の名前を叫び続けた


何処かで鐘が鳴った

静かに重い音が鈍く胸を掠める

この音は式場の鐘

結婚式が合った証拠だ


この時期に態々言わないで

結婚するなんて、君以外考えられなかった


式場に走った


「､､Aっ!!」


名前を呼べばこれまでに無いくらい

目に涙を溜めて振り向いた君

『今日の、私は、誰に似てますか？』


今日の君は私が好きな人、全てに似ていた

でも、それを言えば

君は離れて行ってしまう

だから、何も言わなかった

君を連れて逃げた

これまでに無いくらい、思いっきり

全力で


本気で逃げて、


君を閉じ込めた


本当はずっとそうしたかったのだろう

好きな人の全てに似ていた君を自分のモノにしたかったんだろう
でも、君は何処かに行かないだろうと信じてもいたんだろう
信じたかったのだろう
でも、不器用な自分は君を傷つけて離れさせてしまったのだろう
もう二度と離しはしない
もう君を全て独占する
例え君を殺すことになっても

【Ｋ】【伏見仁希】生きる為に縋る→←【進撃の巨人】【リヴァイ】愛してる、愛してた

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