古泉一樹の過去 (ページ5)

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～キョン視点～
古泉とオセロをしているとき、なかなか古泉が次の一手を出さないと思い、顔を上げてみると古泉が外を見ていることに気付いた。

そして、古泉は、俺が見たことのない、微笑みが消え失せ、半分ほどが悲哀に満ちた表情を浮かべていた。俺は、数秒呆気に取られてから声を掛けた。

「おい、古泉?」

「・・・あっ、はい。ええと・・・すみません」

今までで一番古泉らしくない台詞が返ってきた。とっさに見せた笑みも、苦笑いの仮面を被ったようにしか見えない。そう言えば、今日の古泉はどこかおかしかった。

「・・・何かあったのか?」

「いえ。・・・昔の事です」

古泉の表情がほんの少し曇る。これ以上聞くのはやめよう。ただ、あれだけは、伝えておこう。

「・・・そうか。何かあったら、言えよ。相談位は乗るからな」

そう言うと、古泉は、少し驚いた顔をしてから、恐らく全ての仮面を外した笑顔で、こう言った。

「はい、ありがとうございます」

そして、オセロの決着が付き、古泉は次のボードゲームを取りに行こうとして立ち上がり、

古泉は、倒れてしまった。

「・・・なっ!おい、古泉!!」

慌てて駆け寄る。息はしているらしい。熱もない。長門も本を置いて来た。

「長門、救急車は呼ぶ必要はあるか?」

「・・・ない。倒れた原因は恐らく精神及び肉体の疲労。目を覚ますまでに時間は掛からない」

大事にならなくて良かった。だが、あの表情にはまだ理由があったんだな。それに、ただの疲労で古泉が倒れるとは思えない。相当疲れていたに違いない。

俺は、長門と一緒に古泉を椅子に座らせ、しばらく寝かせてやることにした。