いつかこの涙が＿west.3

＊ ページ29

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中間side





"……え、？"





俺らがその状況を把握出来たのは、
まさかの本人と同時やった。





歌ってる最中にイヤモニから聞こえてきた伊藤さんの声、

｢Aから目離すな。異変あったらすぐ裏戻せ｣




想像したくはないけど、何かあったんやろう。

詳しいことは分からないままメンバー同士で自然と目配せして、なんとか裏にはける所まで持ち堪えた。








＿＿＿_


医師｢ちょっと診察させてくださいね？｣

バックヤードでAが椅子に座った瞬間、女医さんと看護師さん、それから事務所の偉い人たちが集まる。




A｢…え？なに？｣



医師｢いつもと違う所はあります？胸が痛いとか、息苦しいとか。｣


A｢……ちょっとだけ息苦しい、かな？
でも全然平気です、なんですかこれ？笑｣




そこにいるのはいつもと何ら変わらない彼女。


その様子に、そんな大事じゃないんかと思って安心したのも束の間、先生から告げられたことには





…鈍器で殴られるような感覚がした。









医師｢…笠波さん。信じられないかもしれないんですけど、｣





発作が起こっている。

その事実が医師からAに伝えられた。



医師｢多分今症状が無いのは始まる前に入れた薬が効いているから。後はアドレナリンとしか考えようがないかな、｣






それは、実に残酷な宣告。


医師｢このままだと危険としか言えません。私からすれば、中断も考えた判断をした方がいいと思います。｣






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…コンサート中断。

そんなこと、誰も想像していなかった選択肢。









A｢…っ、｣






.








ほんの数分前まで、ファンに笑顔を届けていた子が、

……今、生死の選択を迫られているなんて誰が予測出来るだろう。



.






A｢…っ、えっと、｣







もうここで止めようって、そう言えればどんなに良いか。

それは多分ここにいる皆が思ってる。





すぐに言うことが出来ないのは、

Aの今までを見てきているから。



…この子がどれだけ悩んで戦って、
今ここに立っているかを知っているから。






.







だから、




｢中止だ。これ以上続けさせるわけにはいかない。｣




事務所の上層部の人が、悩むAを遮って喋りだしたことには、

中間,伊藤,本木｢ちょっと待ってもらえますか。｣



チームジャニーズWESTとして、皆が黙っていられなかった。









…おい、おっさん。

お前はAの何を見てきたんや。

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