秘密 ページ33
※人によってはホラーだと感じるかもしれません。
−樹−
高地が引越してきてから約半年、外はすっかり夏模様。
涼し気な甚平を身に着けたジェシーはカメラマンに囲まれる中団扇を揺らしていた。
「あら樹さん、今日は見学なんですね」
「どうも、だって外熱いじゃないっすか」
モデルであるジェシーの仕事場、スタジオに着いてきた俺に女性スタッフが話しかけてきた。
何度か話した事のある可愛らしい人。
「そういえばもう直ぐ夏祭りですね」
「あぁ、来週だっけ?」
話は夏の恒例行事へ。
夜は妖怪が活発になるが、人間が多く密集する場所は避ける傾向がある。
だから毎年夏祭りには参加していた。
「よかったら一緒に行きません?」
「私彼氏いるので、ごめんなさいね」
「彼氏いんのかぁくそぉ」
なんてケラケラ笑っていると撮影が終わった様でジェシーが近付いてきた。
「何話してるの?」
「お疲れ、もうすぐ夏祭りだねって話」
何を考えているのか、大方の予想はつくが、彼の口元が緩む。
きっとお目当ての人物をどうやって誘おうか脳内シュミレーションしているのだろう。
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作者名:やた | 作成日時:2022年2月3日 1時