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それから何度か顔を合わせ、その度に二人で散歩をした。
近況の報告から好み、悩みについてまで。
会う度に彼女の事を知り、そして惹かれていった。
「樚は何でいつも笑っているの?」
「一度しか無い人生なのだから、どんな事でも楽しまなくては損でしょう?」
この会話は特に心に残っている。
何故なら彼女の顔に一瞬、悲しみが現れたから。
いつも笑っているから忘れていた。
彼女も俺と同じ、自由のない身なのである。
それなのに、どうしてこうも違うのか。
情けない。
彼女に本当の笑顔を浮かべて欲しい。
「一緒にさ、逃げちゃおうか」
驚きと戸惑いと、そして希望。
差し出した手に重ねられた彼女の手は暖かくて、離れてしまわないように強く握った。
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作者名:やた | 作成日時:2022年2月3日 1時