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一階につきラウンジを覗くと既に北斗が居て一人で朝食を食べていた。

「おはよ、相変わらず早いね」

「二人ともおはよう。そっちこそ今日は随分と早いじゃない」

白米に味噌汁に目玉焼き。
何とも朝食らしい朝食ですこと。
北斗はパートナーのきょもに時間を合わせたりしない。
その理由は簡単で、きょもが殆ど外に出ないから。
きっと今頃は自室のベッドでぐっすりだろう。

「高地はまだ起きてないの?」

「さぁ、俺は見てないよ」

ジェシーが分かりやすくしょんぼりする。
どうも彼は高地の事が気になてしょうがないらしい。

「そういえばあいつって何の仕事してんの?」

「何だろう、俺も聞いてないんだよね」

お前ら幼馴染だろう、随分淡白ではないか。
少なくとも早朝から働くようなブラック企業ではないみたいで安心した。

「樹、早く飯食おう」

「そうね、何にしよっかなぁ」

本当は一番気になっている癖に素っ気無い態度を取るジェシー。
格好つけたがりな中学生みたいで可愛くもあり、世話を焼いてしまいたくもある。

「カツサンド下さい」

「じゃあ俺和風パスタ」

このマンションで働くシェフは本当に優秀で頼めば何でも作ってくれる。
確か鎌鼬の先祖返りと言っていたか。
包丁さばきが実に見事な渋めのおじさんである。

「今日は雑誌の撮影だけだっけ?」

「そう、昼には終わるかな」

出来上がった料理を持って空いている席へ。
ボディーガード兼ドライバーな俺は彼の予定次第で一日の過ごし方も変わってくる。
今日みたいに午前中で終わるのなら共にスタジオへ入り見学をするのも悪くないだろう。

ボディーガードなのだから仕事に付き添うのは当たり前だろうと思ったでしょ。
それが違うのだ。
俺達SSは純血の妖怪から住民を守るのが仕事。
その妖怪達が活発になるのも日が沈む頃から。
つまり夕方近くまでは傍に居なくても良いのである。
真面目な人はそれでは駄目だと言うけれど。

「そろそろ行こうか」

「うん…」

食事を終え支度を済ましエントランスを出る。
ジェシーは最後の最後まで目をキョロキョロと動かしていたが、残念ながらお目当ての人物には出会えなかった。

3→←それぞれの仕事



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作者名:やた | 作成日時:2022年2月3日 1時

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