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それからも、毎日あの日のことばかり考えて。
お昼休み、みんなでご飯を食べている時に宮近くんとあまり目が合わせられない。
時々感じる視線に気付かないふりをして、毎日放課後になるのを待つだけ。
結局、宮近くんの理想の人に近づけるように何か頑張ろうとしても、何も出来ないまま。
……あ、また今日も雨だ。
「何ぼーっとしてんだよ。帰るぞ」
雨の日は、宮近くんと話せる。
もうそう思ってしまっている私は、また中村との下校の約束を断ろうとしていた。
『中村ごめん。今日、』
「今日も先生に呼ばれてる？」
『え？あ、うん』
「……ふーん」
疑うような目で見つめてくる。
『な、なに？』
「終わるまで待ってる」
終わるまでって、先生からの用事を済ませたら一緒に帰るってこと？
だとしたら私、呼ばれてもいないのに嘘を突き通すなんて難しくなるよ。
もしかして、この前下校の時に偶然サッカー部と一緒になったなんて話したから、疑ってる？
「誰先生？」
『え？』
「だから、呼ばれてんだろ？呼んでんの誰？」
『……っと、ね、』
呼ばれている先生が誰かなんて、そこまで考えていなかった。
どうしよう、誰？
誰先生なら嘘だってバレない？
先生、先生……
「お前本当に嘘下手くそだな」
どうしよう、やっぱり私が宮近くんと帰る口実を作るために帰らないようにしていたこと、バレたかもしれない。
中村に宮近くんの話をしてしまったのが馬鹿だった。
あそこまで話してしまったら、流石に宮近くんに会うために雨の日だけ帰るのを断っているのがわかるのかもしれない。
『嘘じゃないし！呼ばれてるもん』
「じゃあ誰だよ」
『担任！担任に呼ばれたの！』
「へー、早く行けよ。俺待ってるから」
『言われなくても行くし！』
教室から手を振って見送ってくる中村。
『どうしよう……』
中村に嘘だとバレないように職員室前に来たはいいけど、先生に呼ばれているわけじゃない。
とぼけてこのまま帰ろうか悩んだけど、カバンは自分の席。
教室に取りに行くってことは、結局中村に会うっていうことで。
宮近くんには今日はもう会えないんだ。
2人で話せる時間、なくなっちゃった。
「あれ、Aちゃん？」
考え込んでいると、後ろから私を呼ぶ男の子の声。
『あ、げんちゃん』
振り返ると、ジャージ姿のげんちゃんがいた。
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作者名：愛生
| 作成日時：2024年1月21日 2時
