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そんな私を見て、宮近くんは“ふふっ”と余裕そうに笑う。
「急にめっちゃ聞くじゃん。取材？」
『ダメ？知りたいんだもん』
ダメじゃないよ、と言って机を見る宮近くん。
机には特に何も置いていないし、ラクガキもない。
きっと、目を合わせるのが少し苦手な彼のクセ。
少しだけ、耳が赤く見えるのは気の所為？
「好きな映画かー、色々あるけどアクション映画は好きかな」
『へー！じゃあじゃあ、好きなアニメは？』
さらに質問をすると、宮近くんはまた少し笑って
「ストップ」
私の口に人差し指をあてた。
唇に触れている指が離れないと、話せないよ。
「質問タイム、終了ね」
また余裕そうな顔。
一方、私は固まったまま動けない。
心臓がドキドキして、息をするのを忘れてしまう。
「息まで止まっちゃった？」
なんとか頷くと、宮近くんは少し意地悪な顔をして指を離した。
『どうしてストップしたの？』
「俺ばかり答えて Aの好きな音楽とか映画とか、何も聞けてないじゃん」
『私の好きなもの？』
「そう」
『私の好きなものなんて知って、何か得するの？』
「得とか、そういうんじゃなくてさ」
頭に宮近くんの手が優しく触れる。
ぽんぽんと動く手。
花のようにふわっと咲く笑顔。
「もっと話したいじゃん」
……宮近くんは、狡い人だ。
「Aは嫌？俺と話すの」
今だってきっと、私の気持ちをわかっていて聞いてきてるでしょ？
『嫌じゃない、けど』
「けど？」
『宮近くんも、話したいって思ってくれてたの？』
「当たり前じゃん。4人でいる時、Aって海人と喧嘩してばっかだから、こういう話することないし」
『そうだよね』
「だから、Aの好きなもの教えてよ」
『……うん』
美希先輩のことが好きなのに、そんなこと言ってくるなんて、狡すぎる。
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作者名：愛生
| 作成日時：2024年1月21日 2時
