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「なんだよその顔」


『別に?なんでもないし』


「は?めんどくせぇ」





面倒くさい性格だって、自分でもわかってる。


わかってるけど、図星だとムカついてしまう。





『ほら、意地悪じゃん』


「いつもポテト分けてやってんのに、そうやって人のこと悪く言うんだな。もうあげねぇから」


『なんでそうなるの?それとこれとは別じゃん!』


「あーもう、うるせぇな」





中村が意地悪なこと言う保証なんて何処にもないけど、何かと的を射るように話をしてくるから怖くて。


それに、私が宮近くんのこと好きだって、中村なら宮近くん本人に話してしまいそうで不安。


……だけど、宮近くんとずっと一緒にいる中村なら、宮近くんの理想に少しでも近づけるような情報を持っていそうな気がして。


それなら、恋愛初心者の私に教えてほしいし、味方でいてほしい。


バカにされるのは嫌だけど、相談相手になってほしい気持ちはある。





『……意地悪しないなら、宮近くんのこと教えてよ』


「それは自分で聞けよ。前も言っただろ、俺からは教えないって」


『ケチ』


「お前本当に文句しか言わないな。そんなだったら海斗に嫌われんぞ」


『冗談でもそういうこと言わないでよバカ』





中村はセットで頼んでいたコーラをゴクゴクと飲んだあと、ストローから口を離した。





「あと、これだけは先に言っとく」


『なに?』


「俺、Aの恋は応援できないから」





応援できないって、どうして?


友達なら応援してほしいと思う私は普通じゃないのかな?


初めて恋をしたから、それすらわからない。





『なんでそんなこと言うの?』


「とにかく無理。だから、海斗のことは俺に聞かないで」


『さっきは話せって言ったくせに』


「話聞くだけならってことだよ」





こっちは真剣に話しているのに、眉間に皺を寄せてダルそうに話す中村に苛立ってしまう。





『もういい。中村にはこれ以上何も話さない』


「はいそうですか」





売り言葉に買い言葉。


こんなの、宮近くんが見たら呆れるんだろうな。





『中村なら頼りになるなって思ったのに。応援もしてくれないなら、話しても意味ないもん。どうせまた意地悪言うって分かってるし』


「わかったから、もうこの話は終わり。ポテト食わないなら俺もう全部食べるよ」


『まって、食べる!』





こんなに我儘な私を、宮近くんはきっと好きになんてならない。


だから変わりたいのに。

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作者名:愛生 | 作成日時:2024年1月21日 2時

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