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そう思った日の放課後、部活終わりに帰ろうとすると雨が降っていた。


天気予報は確認していないし、土砂降りだし。


駅まで雨にあたりながら走って向かっていると、前の方に相合傘をしているカップルが見えた。


肩と肩が触れていて、男の方なんて腰に手まで回してる。




小中学生の頃は、Aとよく一緒に相合傘していたな。


そう考えながら、ボーッと前にいた人たちを見つつ走り続けていると、どんどんそのふたりと距離が近くなる。





「……は?」





そうして誰か認識できるくらいの近さで、やっとわかったそのふたり。


Aと、ちゃかだった。


暗くてもわかるくらい顔を赤らめたAと、何食わぬ顔をしてくっついたまま歩いているちゃか。


なんだよ、ふたりっていつの間にそんなに仲良くなったんだよ。


それに、Aのあんな表情は初めて見た。


最悪だ。


雨に濡れた上に、大好きな幼馴染と友達がカップルくらい距離が近くなっている姿を見るなんて。




ふたりに見つからないように、あえて横断歩道を渡って離れた後に走って駅に向かった。


Aが最近ボーッとしていた原因は、きっとちゃかなんだ。


恋をしたことがないAが恋をしたから、きっとまだ自分では自覚していなくてボーッとしてしまっているんだろう。




駅に着いて、びしょ濡れのまま電車に乗った。


家の最寄り駅に着くと、まだ雨が降り続いていた。


雨にあたって帰ろうか、それとも雨宿りをするか。





悩んでいる間に、俺が乗ってきた電車の一本後に発車したであろう電車からAが降りてきた。


手にはちゃかから借りたであろうビニール傘。


着ていたのは、少しブカブカの宮近と書かれたジャージ。


あー、ムカつく。


Aは俺とずっと一緒だったのに、こんなにも簡単にちゃかに奪われるのかな。


ふたりが付き合ったら、俺の気持ちはどうしたらいいんだろう。


そんなことを考えながらAと話していると、自分が惨めに感じて辛くなる。









「お前 しつこい!」





イライラして、Aが持っていたちゃかの傘を地面に叩きつけるように投げてしまった。

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作者名:愛生 | 作成日時:2024年1月21日 2時

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