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『私は、海斗とずっと一緒にいたいし、海斗がいいって言うならずっと一緒にいるつもりだよ』
「……うん」
『だから、変な心配しないで？』
小さい子をあやすように頭を撫でると、眉間にあった皺がなくなった。
よかった、安心したみたい。
「うん。俺、格好悪いな……」
『海斗らしくて良いと思うけどね、私は』
やっと機嫌が治ったのか、笑顔になった海斗はとても嬉しそう。
そのまま居酒屋まで向かって辿り着くと、席にはもう宮近くんと中村がいた。
「あ！来た」
そう言いながら手を振る中村は、相変わらずテンションが上がると声が大きくなるみたい。
中村と宮近くんは隣同士で座っていて、海斗は中村の向かいに座った。
「お待たせ！ちゃかと海人、ほんと久しぶりだな！」
「ん、久しぶり」
海斗に返事をしながら、向かいの席に座ろうとしている私を見てくる宮近くん。
お辞儀をすると、ふにゃっと笑った。
あ、高校の頃は無かったピアスホール。
今は3つも開いてるんだ。
……やっぱり、海斗には言えないけど 宮近くんってかっこいいな。
「皆様お揃いですか？」
店員さんが私たちの卓に来て、声をかけてきた。
「お先にお飲み物お伺いします！……って、ちゃかじゃん！」
飲み物のメニューを見ていたら、“ちゃか”という言葉が聞こえてきて、不思議に思って顔上げた。
「ん、元太お疲れ」
店員さんが誰なのか、宮近くんの言葉で気が付いた。
『げんちゃん……？』
「まって、Aちゃん！？海斗もいんじゃん！」
げんちゃんこと松田元太くんは、一個下の学年の男の子。
「元太、ここでバイトしてんの？」
「そう！俺、ちゃかと同じ大学入ったから、この駅が最寄りのとこで！だからこの辺でバイトしたかったんだー」
宮近くんと同じサッカー部だった彼は、高校の頃と変わらず爽やかな好青年。
「Aちゃん」
『なに？』
「大好きだから、会えて嬉しい！」
『私もだよ』
きっと元太くんはフレンドリーだから、大好きっていうのは、“学校の先輩後輩として”という意味だと思う。
「A、ヤバいって」
斜め前の中村がそう言って指さしたのは、また眉間に皺を寄せた海斗だった。
嫉妬しているであろう海斗を見て 何故か笑顔になっているげんちゃんに再会したのは、人生でこれが2度目。
1度目は、高校の頃だった。
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作者名：愛生
| 作成日時：2024年1月21日 2時
