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「何かあった?」
『え?』
「さっきから、ごめんって謝ってばっかり」
『ごめんね』
「ほら。何に対してのごめん?」
『……分からない』
こんなにネガティブになることなんて、あまりないのに。
自分でも分からない。
どうして宮近くんとの接し方をこんなに考えちゃうのか。
どうして自然に話せないのか。
どうしていつも一緒にいるはずなのに、宮近くんにだけは緊張しちゃうのか。
それに、これって本人に話していいことなのかも、分からない。
「また何か悩んでるんだ」
『そんな感じ、かも』
「話してくれるんだったらこのまま聞くよ」
どう話すのが正解?
それとも、全て話さない方がいい?
でも、宮近くんに沢山迷惑かけてるし……
『宮近くんの好きな人って、どんな人なの?』
こんなこと聞いたら、私傷ついちゃうかな?
宮近くんの好きな人、どんな人なのか気になる。
でも、どうしてこんなに気になるのか、傷つくのが怖いと思っているのかも分からない。
「A最近恋バナ好きだね」
『聞いちゃダメだった?』
「いいよ。こういうの話すの苦手だけど、Aには教えてあげる」
それは、特別にってこと?
苦手なのに私には教えてくれるって、私は特別?
……ううん、きっといつも一緒にご飯を食べているからとか、そういう事だよね。
海斗はわからないけど、中村は宮近くんの好きな人のこと知ってるみたいだったし、きっと私も中村と同じ括りで教えてくれるんだ。
「一言で表すなら、自立してる人かな」
『自立?』
「そう。自分のことはちゃんと自分で出来る人。何かにひたむきに取り組んでいる人が、俺は好き」
あぁ、そんなの、今の私には到底できないや。
自分がどうしてこんなに悩んでいるかも理解出来ていない私は、宮近くんの好みとはかけ離れすぎている。
部活にも入っていなくて、毎日平凡な暮らしを望むだけの私はダメなんだ。
好きな人は、先輩とか、年上の人?
オトナみたいな、そんな人が好きなんだ。
……そっか、そうだよね。
だって、宮近くんは同い年なのにどこか大人っぽくて、きっと自分の精神年齢に見合う人が好きなんだ。
私なんて、到底無理なんだ。
『そっか。教えてくれてありがとう』
……あれ。
どうして私、今泣きそうなんだろう。
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作者名:愛生 | 作成日時:2024年1月21日 2時