樹くんの秘密 (ページ2)

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｢A、ただいま｣

リビングに入り、改めてただいまと言い

彼女の頭をポンポンとすれば、彼女の顔は真っ赤で。

『…おかえり、』

目もあわせてくれず、そっぽを向くからちょっと傷つく。

きっと照れて向けないんだろう、毎回そうだから。

少しの事で彼女が照れる事は知っている。

それを見るのが楽しくて可愛いなあっとも思う俺はドSなんだろうと毎度思う。

｢あ、プリン買ってきたから後で食べよ？｣

そう言った途端目を光らせて、

『プリン？！食べる！！ありがとう樹ー！』

ソファの上でキャッキャと喜んでいるA、とてつもなく可愛いです。

俺の彼女は同い年で見た目も少し大人びている。

なのに、さっきみたいに帰りを待っていたり
好きな好物を買ってこればはしゃいだり、
まるで子どもみたい…いや、犬みたいで、
そんな素直で少しギャップのある彼女に俺は惹かれたんだ。

『樹ー？』

｢どうした？｣

『いや、そういえば帰ってくるの早かったなーって』

｢あー。北人さんに飯誘われたけど今日は断ってきちゃった｣

『え、良かったの？』

｢北人さんは分かってくれてるから大丈夫。笑｣

『行っても良かったんだよ？』

｢俺が早く帰ってきたかったからいいの｣

『そっか、』

北人くんに悪い事しちゃったなーとボヤくAは少し俯いてて、本当に申し訳なさそうにしている。

｢またいつでも北人さんとは行けるから｣

『…そうだよね！』

今日くらいはとまた笑顔になるA。
開き直るスピードは日本一な気がする。

この誘いも今回は北人さんだからできた事であって、他の人には言えない。

彼女がいる事は北人さん以外誰も知らないし、言っていないから。

その事はAも知っているし、北人さんに会った事もある。

別に恋愛禁止ではない、だけど今が頑張り時だから彼女がいる事はあまり大事にしたくない。

だから俺はこの秘密をバレないようにしている。

『樹ー、お腹空いたしご飯作るね！』

｢手伝うよ｣

『え、料理出来る？』

｢少なくとも物切ることくらい出来るよ(笑)｣

『あら、意外(笑)』

なんて笑う彼女と他愛もない会話をしながら料理を進めていった。

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