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恋だの愛だの、信じるやら騙されたなんて自分にとってはどこか別の次元の話だと思っていた。思っていた時期もあったものだ。
目の前にいる彼女を見るまでは。
自分で殺した男を見て、彼女は何かに恐れるように震えだした。可哀想だと思ったからではなくただ単純に血に濡れた彼女が美しかったから、私はこの腕の中に彼女を閉じ込めたくなったのだ。
彼女の艶やかな黒い髪を撫でた。ずっと触れずに我慢してきたものに触れられたからか、私の心臓は珍しく高鳴っていた。
怒られるかとも思ったが、意外にも彼女は私にその体を預けたのだ。
彼女は私の事を好きになれば、私が彼女に飽きると思っていたようだがそれは全て思い違いに過ぎない。
その考えが出る時点で彼女は私の事が好きなのだと早く気が付くべきだ。それに私は彼女がどれだけ私の事を好きになろうとも、もう離れられない事を知っている。
だからひとつも利益にならないこんな男を探し出して、わざわざ偽の情報を掴ませたのだ。
「太宰君・・・・・・すみません、もう大丈夫です」
そう言って私の身体から彼女は離れていってしまう。名残惜しくもあったけれどまだ彼女は私を望んでいない。
彼女の異能は自分の視力を操る事が出来る。
私から離れた後も、動揺のせいか視界の調節に手間取っているのか顔がとても険しい。
「気分はどうだい?」
「最悪です、今なら太宰君と一緒に死ねるぐらいには気分が悪い」
「どうやら普段の調子が戻ったみたいで良かった」
その一言がどれだけ私の心を揺さぶるか知りもしないで彼女は立ち上がった。自分についた血を拭う素振りもなく。
やはり彼女もマフィアの人間なのだと思い出す。
「私の意には反していましたが、結果は結果です。お礼を言います、ありがとうございました」
心底不服そうな顔で彼女は私を睨みつけながらお礼を言った。
眉間に皺を寄せた顔がどうしようもなく可愛くて私はつい笑みをこぼしながら「どういたしまして」と彼女に返す。
彼女からの「ありがとう」が聞けたのだ。
好きな人へ尽くす理由にこれ以上の理由は要らないと私は今日初めて知った。
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柚子豆腐(プロフ) - みなづきさん» コメントありがとうございま!文章を褒めて頂けるのはほんとにめっちゃ嬉しいです!!より楽しんで頂けるよう頑張ります!! (2021年3月10日 4時) (レス) id: 63b1aa4dbe (このIDを非表示/違反報告)
みなづき(プロフ) - 死ぬほど好きです!!!文章が綺麗で、キャラクターとしても太宰がひたむきというか、原作のままなのがもう好きすぎて、、100億回くらい10点押したいです。続き楽しみに待ってます! (2021年3月9日 22時) (レス) id: 3762c357ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚子豆腐 | 作成日時:2021年2月25日 4時