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「なんでもって、そんな・・・・」




大袈裟な、と続けようとするも太宰君の言葉によって遮られてしまう。




「なんでもいい。私なら本当になんだってしてあげられる」




直感でそう気が付いてしまった。


この男がどういう意図でそう言ったのか。
私がどうしてポートマフィアに居るのかも、何を望んで居るのかもこの男は全て知っているのだ。


どうして知っているかなんて愚問だろう。この男に調べられないものなんてあるはずがない。


その上で彼は「なんでも」なんて言葉を出したのだ。




「大丈夫、全て私に任せておけば君が望む結果を必ず持ち帰ると約束しよう。私にかかれば造作もない事だよ」


「そう、でしょうね。太宰君にかかれば、すぐに調べあげてすぐに見つけ出して・・・・・・」




簡単にその男を殺してくれるだろう。


私がポートマフィアに入ってもう10年が経った。ただその事だけを望んでこの組織に来た。私が10年かけて見つけられない男を、彼なら見つけてくれると言うのだ。


正直に言うと、かなり揺らいでしまっている。




「太宰君には、頼めません」


「君が私を頼ってくれない事は分かっていたよ。だから、私は勝手に君の望みを叶える」


「は?・・・・・・意味が、わからない」


「君が好きだから君の為に動きたいだけだよ。言わばこれは私のエゴだ。私が勝手にした事に君は感謝も負い目も感じる必要は無いのだよ」


「違う、違います!そういう問題じゃないんです!!」






思わず声を荒らげた私に太宰君の目が少し見開く。


彼の言う事は理解出来る。けれどそれでは駄目なのだ。彼が見つけて彼が殺せばそれは私の目的は達成されない。




「あの男は、私が殺さないと意味が無いんです・・・・」




私の言葉で太宰君はまた全てを理解したように、口角を上げ弧を描く。


そして優しく、まるで子をあやすように私を抱き締めたのだ。


太宰君は私の背中をゆっくりと撫でながら子守唄でも歌うかのようにこう言った。




「では、その男は私が君の目の前に連れてこよう」




彼は私の愚かな10年間を嘲笑うように




「明日にでも連れてこられる。実はもう調べはついていてね」




「それとも、一緒に来るかい?」




その言葉は今までのどんな愛の言葉よりも甘美な響きに聞こえてならなかった。

◇→←◇



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柚子豆腐(プロフ) - みなづきさん» コメントありがとうございま!文章を褒めて頂けるのはほんとにめっちゃ嬉しいです!!より楽しんで頂けるよう頑張ります!! (2021年3月10日 4時) (レス) id: 63b1aa4dbe (このIDを非表示/違反報告)
みなづき(プロフ) - 死ぬほど好きです!!!文章が綺麗で、キャラクターとしても太宰がひたむきというか、原作のままなのがもう好きすぎて、、100億回くらい10点押したいです。続き楽しみに待ってます! (2021年3月9日 22時) (レス) id: 3762c357ba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚子豆腐 | 作成日時:2021年2月25日 4時

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