嗚呼、愛しい人よ【中原中也】

9話 ページ9

数ヶ月前から、私の所属する組織と同地域のある組織は対立状態になっていた。


いつ、大きな抗争になってもおかしくないぐらいのまさに一触即発状態で、何故かボスから調査命令が下ったのだ。




｢ポートマフィア････？｣




何故、ヨコハマの････ヨコハマどころか日本でその名を知らぬものはいない程の大組織。


今や報復を恐れてポートマフィアに仇なすものは数少ない。


なのに、ボスはいったいポートマフィアのことを調べて何をなさるつもりなのだろうか。




しかしそんなこんなは置いておくとして、あれだけ大きくて有名な組織だというのに得られる情報は数少ないものだった。


さすがというか、なんというか････。




数年前まではよく聞いていた『双黒』の噂も今となっては都市伝説だと言われている。


指名手配犯の芥川龍之介だが、彼が本当にポートマフィア所属なのかどうか確かな情報はない。


後はボスと幹部の名前ぐらいだろうか、むしろよくここまで調べたのだと褒めて欲しい。




ボスの森鴎外


幹部が、3人かこれは？


資料を手に取り、首を傾げる。噂では五大幹部と聞いていたのだが資料には3名の名前しか上がっていなかった。




中原中也




その名をみて、心臓が跳ね上がった。


なんの、繋がりも根拠もないその名前。




どうして、今ポートマフィアを。




真意をつかめないまま、これ以上の情報は掴まないと踏み資料をもってボスの執務室へとむかう。


嫌な予感がした。


嫌な予感を気の所為だと思い込ませる。




終わらせたくない、まだ、この夢のような幸せな日々を。


終わらせてたまるものか、と唇を噛み締める。

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