15話 ページ15
｢降参よ、諦めるから部下の命だけは助けてちょうだい｣
両手を上げて、ビルの外まで丸腰で歩いて行く。
部下の情報どおり、武装した集団に取り囲まれおりその奥には見知った姿があった。
行方をくらましたはずのボスだった。
残念なことに、私の読みは外れてしまったらしい。
｢残念です、ボス｣
あんなにも、こんなにも、組織へ忠誠を尽くしたというのにその見返りがこの仕打ちか。
残念以外の言葉は見つからない。
何となく、こうなると予想はしていたから。
｢切れすぎる刃も使いようですのに｣
｢黙れ、異能力などと得体の知れない力を持つ者を信用出来ると思うか｣
｢私が裏切ると思ったのですか｣
愚問だった。
ボスは恐れたのだ。自分の寝首をかかれ、ボスの座を奪われる事に。
ボスの視線は、私の後ろに隠れていた部下へと注がれる。
｢お前が撃て。そこの参謀を、殺せ｣
そうすればお前の命は助けてやる、とボスは私の部下にそう言い放った。
心優しい私の部下が、自らの命と引き換えに私を撃つとは到底思えない。
そもそも、ボスが私の部下を生かしておくとも思えないが。
｢A参謀、私････どうすれば｣
｢いいわ、撃ちなさい｣
｢でも････そんな事、できません･･････｣
拳銃を握る彼女の手が、ガチガチと震えている。
ボスの口元がにやりと歪むのを感じ取った。
私の部下で弄ぶなんて、悪辣非道もここまで来ると泣けてくる。
｢撃てないなら、逃げなさい｣
屋上にヘリを停めてある。
私がここで足止めをすれば彼女1人ぐらい逃げられるだろう。
｢最後の命令よ、行きなさい｣
走り出した彼女を、逃すまいと攻め入ってくる。
私は丸腰、勝てるとは思っていない。
それでも彼女を逃がしきるのが、私の最後の仕事だ。
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柚子豆腐(プロフ) - 天草嶋さん» コメントありがとうございます！最終話までお付き合いいただき本当に嬉しいです。番外編は書くか分かりませんが中也の話はまた書きたいと思ってますので今作以上にかっこいい中也をお届けできればと思います！新作もどうかよろしくお願いします。 (2019年8月6日 3時) (
レス) id: 39b3b859c1 (このIDを非表示/違反報告)
天草嶋(プロフ) - 最終話が拝めて本当に満足です。今まで私が見たどの夢小説の中でも一番理想の中也像が描かれていて本当に大好きな作品でした。終わってしまったのは少し寂しいですが、また何か番外編などあれば是非読みたいです。新作も楽しみにしています！お疲れ様でした！ (2019年8月5日 19時) (レス) id: be6bb92be5 (このIDを非表示/違反報告)
柚子豆腐(プロフ) - 謝花さん» コメントありがとうございます！こちらこそまじ感謝です！これからも頑張ります！ (2019年7月20日 0時) (レス) id: 39b3b859c1 (このIDを非表示/違反報告)
柚子豆腐(プロフ) - 桜咲月菜さん» コメントありがとうございます！読んで下さっている読者様の方こそが神様でございます…でも、嬉しいです…… (2019年7月20日 0時) (レス) id: 39b3b859c1 (このIDを非表示/違反報告)
謝花 - 尊…い…まじ感謝です (2019年7月19日 14時) (レス) id: cfb76e4621 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚子豆腐 | 作成日時：2019年5月14日 5時
