恋愛時計【S.S】 (ページ5)

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５異変ページ5

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「ねえ、A今日変だよ？」

あの日の次の日。

あの日っていうのは紛れもなくあの人に出会った日。

クラスで一番仲のいいりさちんに、そう言われた。

「んー？どこが？？」

変だなんて、自分のことなんだから私が一番よく分かってる。

「どこがって…朝は遅刻してくるし、授業中は寝るし、話だってろくに聞いてないじゃん。……なんかあったの？」

……りさちんはよく人を見てるんだなあ。

勘が鋭くいから誤魔化せそうにない。

りさちんになら、相談してみてもいいかな。

「あ、あのね…実は昨日「きゃー！！」」

昨日のこと、正直に話そうとしたら、黄色い声で私の声はかき消されてしまった。

「え？」

「なんの騒ぎ？」

みんなが集まっているほうへ自然とクラスメイトは流れていく。

それは私とりさちんも例外ではなかった。

廊下から黄色い声を出したのは同じクラスの女子だった。

同じクラスの人たちだけでなく、ほかのクラスも集まり始めて大混乱。

そしてなぜか男子は呆れた顔で帰っていき、残るのは女子だらけ。

それでも輪の中心で何が起こってるのかわからない。

あきらめて教室に戻ろうかな。

りさちんに提案しようとすると、戻っていく男子にりさちんが声をかけた。

「これ何の騒ぎ？」

「あー、なんかよくわかんないけど櫻井先輩？ってひとがそこにいてみんなキャーキャー言ってるんだよ。誰かに用事あるんじゃない？」

「そっか、ありがとう」

「おう」

一連の会話をただ隣で黙って聞いていた私をちらっとみてから、その男子は教室に戻っていった。

それよりも、櫻井先輩って誰だろう……。

名前聞いただけでわかるくらい有名ってことかな。

「どうする？櫻井先輩、みていく？(笑)」

「櫻井先輩って…だれ？」

「え！？知らないの？(笑)二年生の櫻井翔先輩だよ、イケメンって有名の」

「そうなんだ(笑)」

男子が苦手と知っているりさちんは、まあ無理もないよとフォローしてくれたけど、どうやらりさちんはせっかくだから近くで見てみたいそうで、ついていくことにした。

ぎゅうぎゅうの人の波を無理やりかき分けてやっとついた一番前で、私の心臓は止まって、時も止まったような気がした。

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今の悩みの根源の、昨日の人がいたから。