さよなら代役Ⅲ【8人目】 (ページ9)

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愛に生かされてページ9

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夏だ！ライブだ！

母参戦だ！！

今年もこの季節が巡ってきた。

当たり前のように実家も盛り上がる。

母は初日にやってきて団扇を振ってくれた。
かなり恥ずかしい。

もうほぼ名物と化している気がする。
何と言うか、ゆるキャラ？

ママは私が誇らしくて仕方ないらしい。

関係者席で隣に居た事務所の子に
(母がこう言うので誰かは分からない)
「あれ、ウチの娘なの！」と言い放ったらしい。

いや、去年の24時間……。
地上波で私たちの関係性も流したじゃないか。

母のこういう所は面白い。

私は毎日歌って走って踊って走っている。
手を振って笑って、切ないほど楽しい。

こんな大勢に愛してもらっているのだ、と改めて思う。

光が見える。

客席で揺れるペンライト、私に当てられるスポットライト
そのどちらもが私を導き、励ましてきた。

何があっても、私を引き上げてきた。

私が愛を諦められなかったように、
仕事を捨てられなかったのは、
この世界から去れなかったのは
この名前も知らぬ人たちの笑顔と涙を知っているから。

愛してくれて、ありがとう。
見つけ出し、助け出し、延命してくれた愛する人たち。

もう大丈夫。
私は、もう誰の代わりでもない。

そんな確信をようやく、得たような気がする。

章ちゃんとは、全然進まない。
それでいいんだと思う。

兄弟感が強すぎて、まあ仕方ない。
変わらない関係で居られているならいいとする。

丸ちゃんとかマネたちは、
「元々彼氏みたいやったやん」とか言っている。

日常は私の横を通り過ぎていく。

私は様々なものと別れ、出会い
そして、今ここに立っている。

その奇跡と軌跡を音に乗せて。

この人たちが近くに居るから。
この人が隣に居てくれるから。

遠くにいるあなたのところまで声を届けます。

待っていて。笑っていて。

歌ってるから。

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