さよなら代役Ⅲ【8人目】 (ページ8)

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君を引き換えに手にしたモノページ8

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雪ちゃんへ。

私です。元気ですか。

私はそれなりに元気にやっています。
最近は色々考えますが、さほど辛くはありません。
安心してください。

まずはお仕事のことから。

皆元気です。元気にお仕事しています。

時に嘘をついたり、作った顔で笑ったりしますが、
この人たちと居るから乗り越えられているのだと思います。

歌を歌うのも、まだまだ勉強することが多く
楽器というものも終わりのない世界です。

この間久々に演技のお仕事をしました。
初めて一緒にやる人ばかりでかなり緊張しましたが、頑張りました。

大人になったら、緊張とかそんな情けないことは
しないものだと思っていましたが、そんなこともないようです。

人間というものはいつまでも情けなく、
くだらなく、愉快な生き物のようですね。

みんなこれを受け入れて大人をやっているなんて驚きです。
私はそれを雪ちゃんに担当してもらっていたから
どうやら気が付かなかったみたい。

お仕事は楽しいです。

この事務所も好きです。
特別な職種で輝く皆も、そこに居られる自分も好きです。

ここだけは自分で認めてこられた部分です。

次はママたちのこと。

二人とも楽しく暮らしているようです。

おじいちゃんは作詞の仕事を再開し始めました。
若い女の子のアイドルグループや
2.5次元ミュージカルの楽曲を手掛けたり
音楽プロデューサーなんかもやっているようです。

突然今までの路線と変わったので周りは驚いていますが、
本人は楽しそうですし、作詞の腕も進化している気がします。

ママは今、朝ドラに出ています。

また主人公の母親役です。
ナレーションも兼ねているので、毎朝見ています。

そんなママを誇りに思います。

次は雪ちゃんが一番気にしていること。

章ちゃんのことは、周りがとても喜んでくれました。

色々なことが絡むので、どうなっていくのか私にも分かりません。

でもただ嬉しく楽しく、心が休まります。

人間が何故、人間と生きたがるのか分かった気がします。
心に誰も居ないからです。

私は、一人なんやなあとつくづく感じます。

それが最近よく分かります。
よく分かって、それでも良いと思います。

寂しくても、悲しくてもそれを
自分の中でぜんぶ解決する必要はないのだと、
今は、思います。

雪ちゃん。
あなたが生まれてくれてよかった。
一緒に生きられてよかった。

またね。
Aより。

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