さよなら代役Ⅲ【8人目】 (ページ6)

今日:4 hit、昨日:4 hit、合計:11,377 hit

ずっと私のために笑ってページ6

.

私は小林Aです。
昔の本名は南Aと言いました。

アイドルを生業にしています。

少し前、私は一人になりました。

家族は二人います。

俳優を生業にしている母と
作詞を生業にしている祖父が居ます。

二人が喜んでくれることが私の幸せです。

家族のように大切な人も七人居ます。

アイドルを生業にしています。

七人の笑い声が聞こえる場所に居られることが私の幸せです。

沢山の私を支えてくれている人たちが居ます。

皆、何かを生業に生きています。

この人たちが楽しめる時間を作ることが私の幸せです。

最近、私は一人ではなくなりました。

ずっと二人で生きてきたけれど、
後ろにはいつも死の影が付き纏い、気の休まる時はなく、
認めてほしい、愛してほしいと
他者からの評価を欲し続けていました。

獅子のように外見を取り繕い、強く見せ
兎の自分を巧く出せないまま、呼吸を続けてきました。

一人になった時、手を伸ばしてくれる人が居ました。

知っている人でした。
近くに居る人でした。
信頼の限りをくれる人でした。
優しく、柔らかな人でした。

私の特別な人が居ます。

私のために生き、笑うことを生業にしてくれるそうです。

私は、私をもう少し大切にして生きてみます。
自分が自分の為に生きることが、
この人のために生きることに繋がりそうだから。

この人は案外乱暴です。

私の悩んでいたもの、例えば幾つかの死と
かなしい時間と分裂した人格とを、
雪かきでもするように私の周辺ぜんぶを
掬い取ってしまいました。

雪解けは案外近いのかもしれません。

.