. ページ7
.
「つまり、さ」
『はい』
「俺は、元の世界の平行線上に存在する、
今まで居った所と、そっくりの場所に転送された」
『はい』
勝手に、広いダイニングテーブルで、
冷蔵庫の冷凍パスタを、もそもそ食べながら
目線の先のno8をフォークで指し、整理する。
「俺は今、ホテル王のドラ息子の、えっと」
『山村直樹さんでス』
「そうそう、それ。
それで、Aも同じように転送されてるみたいで
色々書き換わってる。本人の頭も」
『はい』
「せやから、俺とAが帰るためには
書き換えた奴を見つけなあかん」
『そうでス』
「その為にまず、Aが
俺の居った世界のAか、確認せえへんとって言う」
『はい』
「……いやあ、無理やろ」
『諦めては行けまセん。このno8が付いていまス』
「大丈夫か〜?それってさあ」
あんまりしんどくて、ミートソースに顔をうずめそうになる。
テーブルの上に置いたスマホ一つと、
やたらに作り込まれた類似世界を生きるなんて
荷が重くて仕方ない。
黒いプラスチック容器の底を混ぜて、窓を見る。
ここから見える夜景は、大して変わらへんのに
テレビに映し出されてるのは、
半分以上も知らん人で、寂しい。
知ってる人も名前が違ったり、職種が違ったりした。
.
53人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひるた(プロフ) - このような文章形態のお話、大好きです。首を長くして更新を待っております。文章がもう…ド性癖です。なにかの作品の影響を受けられたのでしょうか…? (2023年1月16日 2時) (レス) id: d618c40589 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆうみ | 作成日時:2020年2月12日 21時